ジョイナス最後の戦い

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POG2017-2018・指名馬のここまで①

1位:フランツ(ロベルタの2015)・牡

父:ディープインパクト 母父:ブライアンズタイム

調教師:音無秀孝(栗東) 馬主:近藤英子 生産:ノーザンファーム

 

 ハズレ1位。母はヴィクトリーの全妹で、アドミラブルのいとこ。ディープインパクト×ブライアンズタイム×サドラーズウェルズという配合だからディーマジェスティに近い配合。自分は全兄コペルニクスからこの血統を狙っていた。

 POG本にはフランツの写真はなかったが、厩舎コメでは「全兄コペルニクス(430キロ)よりも大きい」ということで上位指名を決意。

 しかし、蓋を開けてみればデビュー戦の馬体重は448キロ。デビュー勝ちは決めたものの、2戦目の500万下(旧エリカ賞)は12キロ減。しかもガレてるようには見えない。結局のところ、コペルニクスよりちょっと大きいだけの馬だったというオチ。5着に負け、「成長を促すため」に放牧。クラシック路線に間に合うことはないだろう。

 ただ、500万下で見せた捲り脚は、良血馬の素質の片鱗をうかがわせるものだった。全弟は現2歳。サイズに問題がなければ、めげずにもう一度狙いたいと思う。

 

2位:ミッキーマインド(マイグッドネスの2015)・牡

父:ディープインパクト 母父:Storm Cat

調教師:音無秀孝(栗東) 馬主:野田みずき 生産:三嶋牧場

 

 ハズレ2位。1巡目、2巡目ともに抽選で負け、半ばヤケになって早めに確保した馬。裏を返せばかなり自信があった。

 前年にキズナがダービーを勝った影響か、この世代は母父Storm Catのディープ産駒が多い。その中でも一番期待できる配合と指名当時は思っていた。

 ディープ×Storm cat×War Relicと、アユサンを思わせるような血統構成。半兄はダート短距離路線で活躍したダノンレジェンド。また、全姉ミッキーグッドネスは400キロ程度の馬体で2勝(当時)を挙げていて、クイーンリヴィエラ―カデナの姉弟と被るイメージがあった(私の前年の稼ぎ頭はカデナだった)。「これは手堅いだろう」と考えていた。

 7月にデビューし新馬戦は勝利。ただ、特筆できるような勝ち方ではなく、緩すぎて速い脚が使えないような走りだった。血統表を見返してみるとRoyal Charger≒Nasrullahといったような体質が柔らかくなるような血が多く、この点でキズナアユサンといった程よく締まった上級のディープ×Storm Catの配合と比べて差し引く必要があった、と反省。

 また他の馬を怖がるような気質があり、2戦目以降は全く力を発揮できないレースも何度かあった。前走はダート転向で掲示板を確保。相手関係に恵まれれば期間内2勝目はあるかもしれない。

 

3位:エルディアマンテ(ディアデラノビアの2015)・牝

 

父:キングカメハメハ 母父:サンデーサイレンス 

調教師:国枝栄(美浦) 馬主:キャロットファーム 生産:ノーザンファーム

 

 新馬戦はレッドベルローズのキレ味に屈して2着。

 レッドベルローズは次走のフェアリーSも素質で3着になった。大箱向きな走りなのでクイーンCなら(ヤバイのが出てこない限り)勝ってしまうだろう。そんな馬と府中マイルでハナ差なので、次は確勝だろう。

 小さく、晩成気味の血統なので、春は多くても3戦だろう。

 

4位:グローリーヴェイズ(メジロツボネの2015)・牡

父:ディープインパクト 母父:スウェプトオーヴァーボード

調教師:尾関知人(美浦) 馬主:シルクレーシング 生産:レイクヴィラファーム

 

 ハズレ4位。POG本取材時には457キロ。「増えたらええなあ」と思って指名したら、飼い葉の食いが悪くなり、430キロ台のデビュー。

 新馬戦は、逃げて突き放して余裕の勝利。2戦目のこうやまき賞は逆に出遅れて、11.7-10.8- 11.2という流れを差し切れずアタマ差の2着。この流れをアタマ差まで詰めたことは評価できるが、ワグネリアンならおそらく余裕で差せているラップ。500万下までならまだしも、G1戦線ではパンチが足りないだろうという印象。

 配合はディープ×スウェプトオーヴァーボードという配合はディープ×エンドスウィープトーセンスターダムを思い出させる。トーセンスターダムに母のMr. Prospector3×4、そして自身のSir Ivor≒Wife Mistress5×4からくる非力さがあり、クラシック本番では通用しなかった。グローリーヴェイズは配合的にはそこまで緩くはないが、似たようなところはあるかもしれない。

 パワー不足という点を考えると次走がきさらぎ賞という選択は悪くはないだろう。しかしながら、これで6位指名のカツジと被ってしまった。2頭とも収得賞金加算に成功する結果になればいいが、そう現実は甘くないだろう。

 

5位:ディープインラヴ(ラヴアンドバブルスの2015)・牡

父:ディープインパクト 母父Loup Sauvage

調教師:矢作芳人(栗東) 馬主:フクキタル 生産:パカパカファーム

 

 ラヴアンドバブルス産駒久々の牡馬。そしてパカパカファーム母体の一口馬主クラブ「ワラウカド」募集1年目の目玉である。

 自分は12世代ではブリランテを応援していたクチなので、以前からラヴアンドバブルズっ仔を指名してみたかった。ゼウスバローズより恵まれた馬格、兄を手掛けた矢作厩舎への預託に期待して5位指名。

 来週デビューの予定。時間がかかった。しかしこれがワラウカドデビュー第一号というのは…がんばれワラウカド!DMMに負けるな!

 

6位:カツジ(メリッサの2015)・牡

父:ディープインパクト 母父:ホワイトマズル

調教師:池添兼雄(栗東) 馬主:カナヤマHD 生産:岡田スタッド

 

 名前の由来はオーナーの亡き友人の名前らしい。なんか、どこかで聞いたことがあるような話だ。

 今年の稼ぎ頭。思えば去年の稼ぎ頭カデナも6位指名。日高のディープ産駒で、しかも似たような名前。ゲンを担いで来年も「カ〇〇」を指名しちゃおうか。

 2着になったデイリー杯は2Fだけの競馬。ジャンダルムの一瞬の脚に屈した。もっと弾けてほしかったというのが本音。

 きさらぎ賞ではダノンマジェスティとジャンダルムの力関係を測る物差しになってしまいそうな予感。とりあえず、2着に入ってくれればうれしい。

細江純子オブザイヤー2017

 ちょうど馬券を外して「買わなければよかった」と後悔するように、ホソジュンコラムを「読まなければよかった」と思ってしまうことが私にはある。ホソジュンコラムでは、時折、いや、かなりの頻度で細江純子自身のシモの事情が掲載される。率直に言うと、純子のシモの事情は知りたくない。アラフォー女性のセックスレスや乳首の色や大きさを知って喜べる精神回路は私にはない。ただ、後味の悪さが残るだけである。

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 読後の後味の悪さという点で、「卒乳しても息子は乳搾りで大喜び!」は突出していた。

 謝礼の話の流れから飛び出した「チョコはないんですが、ミルクなら出ますよ」というフレーズに、きっと多くの読者が戦慄しただろう。「細江純子の乳房からはまだ母乳が出る」という情報を、なぜ与えられなければならないのだろうか。

 情報の暴力は続く。かつては白かった純子の母乳は、なんと今では黄色くなってしまったらしい。「よって、その状況を伝えると」という一節に狂気が滲み出る。何が「よって」なのか。母乳が黄色くなったことを伝えることが必然だというのか。そして、伝えられてしまった某ディレクターも、余計な一言を返してしまう。乳製品業界に謝ってほしい。

 謝礼の話から、自分の黄色い母乳の話題に展開した細江純子。狂っているとしか言いようがない。しかし何よりも狂っているのは、このような劇物を突き付けられてもなお、私がホソジュンコラムを毎週欠かさず読み続けているという事実だろう。

 ホソジュンコラムは競馬のようである。競馬で損をしても私は競馬を止めようとは思わない。競馬が好きだから。それと同じことである。たとえ知りたくない情報を知ったとしても、私は細江純子のシモネタが読みたい。細江純子のシモネタが好きだから。

 よって細江純子オブザイヤー2017は、強烈な不快感によってかえってホソジュンコラムの魅力、その存在の偉大さを証明した「卒乳しても息子は乳搾りで大喜び!(2017/3/3)」としたい。

 シモネタコラムとしての出来の良さでいえば、有馬記念中継での失敗談がポップに語られる「京都外回りはプラス レッドエルディスト◎(2017/1/13)」や、しばしの停滞から華麗なる復活を見せた「パンパンの良馬場ならSアラジンそれ以外ならレッドファルクス軸(2017/11/17)」あたりを推挙したいところだが、受賞作のテロリズムのようなインパクトの前では霞んでしまうと言わざるをえない。

細江純子とわたし・2017

はじめに

 2017年のはじめ、私はあることを決意した。ホースコラボレーター*1細江純子氏がアサヒ芸能に連載しているコラムに対する論評を毎月ブログに掲載しよう、と*2

 ところが残念なことに、私はその試みをわずか4か月で挫折してしまった。私が勝手に決意して勝手に諦めただけだから、おそらくほとんどの読者の方々(そもそもいるの?)にとってはどうでもいいことだろう。傍から見れば取るに足らない挫折とはいえ、このままにしておくのは自分としては後味が悪い。というわけで、純子コラムへの論評を続けられなかったことへの代償行為として、私が純子コラム論評を投げてからの、私と細江純子の間に*3起きた細やかな出来事の数々を書き連ねようと思う。

 

細江純子ブラチラ画像を保存してしまった

 某掲示板でノースリーブの肩口からブラジャーの紐が露出した細江純子氏のキャプチャー画像を拾ってしまった。はてなブログの規約上、性的な画像を掲載するわけにはいかないのでここでその画像を転載することはできない。予めご了承を。

 問題は2つある。ブラジャーの紐が見えていることと、当該画像の細江純子氏が美魔女に見えかねないくらい映りが良いということだ。私は決して熟女趣味ではないが(信じてほしい)、細江純子氏の奇跡的な映りの良さに抗えず不覚にも保存してしまった。奇跡を保存したかっただけなのだ。使用するつもりは一切ない。

 ただ熟女好きで、微エロくらいがちょうどいいという人なら当該画像をオカズにしてしまうかもしれない。絶頂しながら「こんな女性が本当にセックスレスなのか?」と思ってしまうかもしれない。そんな奇特な人でも、彼女のコラムを読めば純子が夫から抱かれない理由がなんとなく分かるはずだ。世の中はうまくできている。

細江純子効果!ブログ閲覧数が大幅アップ!

 細江純子氏のコラム論評をはじめるようになってから、当ブログの閲覧者数は飛躍的に増大した。

 それまで当ブログで一番閲覧数が多かった記事はアニメ・グラスリップに登場するM.C.エッシャーの「昼と夜」に関する考察記事だった。

joinus-fantotomoni.hatenablog.com

 今、当ブログで一番のPVを獲得しているのは純子コラム3月分の論評記事だ。なんと「昼と夜」の考察記事の5倍は読まれている。とりわけ彼女がレギュラー出演中の「みんなのけいば」が放映される日曜日のアクセス数は圧巻である。もはや私は氏と氏の出生地である愛知県蒲郡市に足を向けて眠れない。

joinus-fantotomoni.hatenablog.com

すごいぞ純子!7週連続予想的中!

 純子効果によって閲覧者が増えた当ブログだったが、一時期ブログのPVが純子効果では説明できないくらい爆発的に増大したことがあった。後で知ったことだが、どうやらその期間中に細江純子氏が「みんなのけいば」放送中に披露した競馬予想が7週(か6週くらい)連続で的中したという。やっぱり純子のおかげだった。

 しかしながら私はブログの閲覧数増加を手放しで喜ぶことはできなかった。理由はその期間中にもっと読まれた記事にある。

 細江純子連続的中期間もとい純子バブル期に最も読まれた記事は上記の3月分のコラム論評記事だった。その月には、こんなコラムが掲載されている。

asageifuzoku.com

 番組での予想が当たらず、細江純子氏が白髪が増えるほどに悩むという内容だ。そんな氏に対して共演者の井崎脩五郎は「ホソエちゃん、大丈夫。誰も読んでいないから。誰も注目していないから」と言い、番組ディレクターは「いや、ホソエさんは注目されていますよ」「予想じゃないですよ。シモネタですよ。僕の周りにも注目している人は多いですから」と茶化す。

 私はこのコラムに対する論評で、元騎手に予想をさせるメディアを批判した。この記事のディレクターの発言は、細江純子氏の予想に需要がそれほどないことを認めているようなものである。にも拘わらず、馬券予想という役割を担わせることに違和感を私は感じている。

 ところが、細江純子氏が予想を連続的中させたことで、皮肉にも彼女の予想に需要が生まれてしまった。増えていくPV数に、私は思い知らされたのだ。それが当たる予想だと感じれば、深い根拠がなくても飛びついてしまうのが競馬ファンだということを。

最後に

 徳間書店さん、私は「ホソジュンの舞台裏届けます!」の書籍化を熱望しています。是非ともよろしくお願いします。

*1:って何だよ

*2:その決意の産物は当ブログの細江純子タグから閲覧可能だ

*3:ことわっておきたいが筆者と細江純子氏には直接の関りがない。私はただの氏のファンである。氏のファンとして、彼女のアサヒ芸能連載コラムの書籍化実現の後押しになればと、コラム論評をはじめたのである

9位 マイネヴィータの15

馬名:ヴィオトポス 生産:ビッグレッドF 馬主:ラフィアン 調教師:田村康仁美浦

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 総帥のラッパは信じられなくても、「2歳戦のラフィアン」の看板は信じるに値する。開幕週の東京1400新馬戦は過去2年でペルソナリテ、マイネルバールマンとサラブレッドクラブ・ラフィアンの馬が連勝中。ラフィアンが同番組3連覇を目論んで送り込んできたヴィオトポスに注目するのは必然だ。その上ヴィオトポスの父は産駒の仕上がりの速さには定評のあるマツリダゴッホ。これだけでも指名ができる。

 

 唐突だがマツリダゴッホ産駒はDanzigとの相性がいい。母系にDanzigを持つマツリダゴッホ産駒の活躍馬はロードクエスト(G3新潟2歳S,京成杯AH)、アルマワイオリ(G1朝日杯FS2着)、ウインマーレライ(G3ラジオNIKKEI賞)、アリンナ(OP葵S)。どれも2歳時から活躍している馬ばかりだ。

 Danzigマツリダゴッホの相性を考えるうえでカギになるのはDanzigの母父父Crafty Admiral。Crafty Admiralはマツリダゴッホの母母父Affirmedの母の父なので、Danzigを母系にもってくるだけでCrafty Admiralのクロスが発生する。

 Crafty Admiralは母父は米三冠馬War Admiral。そこにSir Gallahad=Bull Dogの全兄弟クロス2×3、Commando4x5と北米競馬の名血が詰まっている血統構成。

 血統表 Crafty Admiral

 ヴィオトポスの牝祖オカノブルーの父ネプテューヌスCrafty Admiralの孫。つまりこの牝系の繁殖牝馬マツリダゴッホを種付けするだけでCrafty Admiralのクロスを持つ馬が生まれてくるのだ。マツリダゴッホ×オカノブルー牝系という組み合わせは中央デビューした6頭中4頭が勝ち上がっている*1。その中にはつい昨日*21000万特別を勝ったエントリーチケットや現1000万級のウランゲルも含まれる。マツリダゴッホと相性のいい牝系といっても差支えがない。

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 血統派としての指名の決め手はもう一つある。それはFlower Bowl≒Your hostのニアリークロスだ。Flower BowlはGraustark-His Majesty兄弟の母としておなじみの名繁殖。Your hostはソシアルバターフライの父で、つまりはトウショウボーイの母の父である。Flower BowlはYour Hostの甥にあたり、父は同じAlibhai。したがって両者は3/4同血の関係だ。

Boudoir(Mahmoud)
├Flower Bed(Beau Pere)
│└Flower Bowl(Alibhai)
│ ├Graustark(Ribot)

│ └His Majesty(Ribot)

Your Host(Alibhai)

 ナリタブライアン産駒として重賞制覇に最も近づいたヴィオトポスの母マイネヴィータは、Flower Bowl≒Your host5×4。ヴィオトポスはマツリダゴッホの母父ベルボライト*3経由でこのクロスを継続する。自身にFlower Bowl≒Your hostのニアリークロスをもつマツリダゴッホ産駒は他にアルマワイオリ(朝日杯2着),エクラミレネール(ニュージーランドT3着)がいる。

 マツリダゴッホ産駒はゴッホの母父ベルボライドの影響か、早熟で距離適性が短めの馬が多い。早く勝ち上がる反面、底力にかけるのか上のクラスになると苦戦しがちだ。そんなマツリダゴッホに欧州的なスタミナを供給するしているのがAlibhaiであり、その産駒のFlower Bowl。Flower Bowl≒Your hostはAlhibaiを経由するニアリークロスであり、このクロスが上のクラスでも通用するマツリダゴッホ産駒を産み出す仕掛けになると自分は考える。暇な人はマツリダゴッホ産駒の賞金獲得上位馬の血統を見てほしい。Flower Bowl≒Your hostはなくてもそのほとんどにAlibhaiのクロスか、Alibhaiと血統構成の似たLady Angela3×2のノーザンテーストが母系にあるはずだ。

 Crafty Admiralのクロスを根拠にしたオカノブルー牝系とマツリダゴッホの相性の良さ。Flower Bowl≒Your hostという上のクラスでも通用できるマツリダゴッホ産駒を産み出すニアリークロス。この二つの血統的な推し要素と「仕上げの速さに定評のあるマイネル軍団が、仕上がりの速さには定評のあるマツリダゴッホ産駒を過去2年で2勝している開幕週の東京1400で使ってくる」という馬主事情的な要素の合わせ技で指名したヴィオトポス。苦笑いしたくなる蛇行も見せたものの、幸先よく1勝して自分の期待に応えてくれた。鞍上柴田大知が必死に促しながら追走していたので、1400は明らかに忙しそう。距離延長になるであろう次戦が楽しみだ。

*1:当然全馬が「マイネル/コスモ」冠の馬

*2:2017/6/10

*3:母父Graustark

10位 ジャジャマーチャンの15

馬名:トゥラヴェスーラ 生産:社台ファーム 馬主:吉田照哉 調教師:高橋康之・栗東

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  本馬の配合の最高の見どころはダイナサッシュ≒アドマイヤマカディ4×3のニアリークロス。

 ダイナサッシュ、アドマイヤマカディはノーザンテーストプリンスリーギフトが共通。そしてダイナサッシュの3代母Sylkoとアドマイヤマカディの母父父DariusはNearco、Solario、Arion、Securityが共通する相似な血…というのがこのクロスの根拠である。*1

 このニアリークロス該当馬はスノードラゴン(G1スプリンターズS)、ウインブライト(G2スプリングS)、ウインファビラス(G1阪神JF2着)、ペルソナリテ(OPダリア賞)と錚々たる顔ぶれ。少ないサンプルながら、打率、飛距離もなかなかなニックスといえる。

 私のように中途半端に血統をかじった人間は、ニアリークロスやニックスという言葉が大好きだ。これらをまるで成功を保証する魔法の杖のようにありがたがる。ただステゴ×マックのニックスがゴールドシップ以降目立った馬を出せていないように、ニックスというのは成功を必ずしも約束するものではない。ニックス以外の部分も吟味する必要がある。

 

 スノードラゴンら上記の4頭はCozzeneのしなやかさを感じる馬だ。一方募集時の立ち写真や出資者が社台Gツアーで撮影した写真を見た限り本馬トゥラヴェスーラにはノーザンテーストのずんぐりむっくりとした頑強さを感じる。ノーザンテースト5・4×4が強く影響したようである。

 そして母ジャジャマーチャンはピッチ走法で駆けた快速牝馬アストンマーチャンの全妹。父はピッチ走法の名馬ドリームジャーニー。この組み合わせからしなやかに前肢を伸ばして駆けるイメージは浮かばない。

 

 ミゼリコルデの15の記事でも触れたがドリームジャーニー産駒で出世している馬の母にはノーザンダンサーの濃いクロスがない。しかし、母ジャジャマーチャンはノーザンダンサー4×4と濃い。

 

 これらを踏まえるとドリームジャーニー×ジャジャマーチャンという組み合わせは、ダイナサッシュ≒アドマイヤマカディの成功例、ドリームジャーニー産駒の成功例とはズレた配合だといえる。反省したい指名だった。

 ただ母の濃いノーザンダンサークロスは早熟性の担保という意味では決してマイナスではないだろう。既に入厩済みで、ゲート試験にも合格済み。早くからの始動は可能だろう。調教師の期待が高い、というのは慰めになるだろうか。

11位 ミゼリコルデの15

馬名未定 生産:追分ファーム

オルフェーヴル 母父フェスリエフ

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オルフェーヴルの母母エレクトロアートはヌレイエフとノーザンダンサー、Lady AngelaHyperionThong=Lt.Stevensが共通する。両者はほぼ同血(=ニアリー)といっていい。

 

   ┌〇  ┌Hyperion

   │ └Lady Angela

  ┌ノーザンダンサー

 ┌ノーザンテースト

 │ └△ ┌Hyperion

 │  └Lady Angela

エレクトロアート

 │┌Lt. Stevens

 └△  ┌Hyperion

 └△┌〇

  └△

 

    ┌〇  ┌Hyperion

  │ └Lady Angela

 ┌ノーザンダンサー

Nureyev

 │  ┌Hyperion

 │ ┌〇

 │┌〇

 └△

 └Thong

 

 もうひとつ面白いのはミゼリコルデの母母父Unfuwain

 Unfuwainの母Height of Fashionはディープインパクトの3代母Burghclereの全妹で80年代の名馬Nashwan*1の母。

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 Hyperion3×2の祖母HighlightにFair Trial3×3のQueen's Hussar*2を配合して生まれた母に、濃いクロスのないBustinoを交配されたのがBurghclere-Height of Fashion姉妹。Butinoの父母母父Court Martialを経由でFair Trialを継続しているのもミソだ。良馬ともに母として大成功していることがこの配合の凄さを証明している。

 Height of Fashionと共通する血が多いのがオルフェの母父メジロマックイーンの母の父であるリマンドだ。

 

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 リマンドはHeight of FashionとDonatello、Hyperion、Fair Trialが共通。そしてリマンドの父Alcideの牝祖はHeight of Fashionの牝祖でもあるAloe。リマンドとHeight of Fashionの出会いで、これらの血が一括してクロスされることとなる。

 

 エレクトロアート≒ヌレイエフで父母のパワーを、リマンド≒Height of Fashionで父母の底力を強調するというのがオルフェーヴル×ミゼリコルデという配合。これだけ見ればかなり魅力的である。

 

 しかしよくよく見返すと、母ミゼリコルデのノーザンダンサー3×3という配合が気になる。オルフェーヴルノーザンテースト4×3。ノーザンダンサーの濃い繁殖は、これまたノーザンダンサーの血の濃いオルフェーヴルには合わない気がするのだ。

 オルフェーヴル産駒はまだデビュー前だが、全兄のドリームジャーニーの産駒である程度は類推できる。

 ドリームジャーニー産駒の中でOP級まで出世したのはミライヘノツバサ、エスティタートの2頭。日経賞2着のミライヘノツバサの母タムロブライトは5代アウトブリード。同産駒で2番目に賞金を稼いでいるエスティタートの母スキッフルもノーザンダンサーのクロスはない。

 とりわけミライヘノツバサの配合は、3代母タムロチェリー(2001の阪神JF勝ち馬)にはノーザンダンサー2×5という濃いNDクロスがあることに着目したい。そこにノーザンダンサーの血が全くないシルバーチャームが配されて生まれたのがミライエノツバサの母タムロブライトだ。「ノーザンダンサーの血が一滴もない」というのはエスティータートの母父トニービンにもいえることだ。両者はノーザンダンサー薄め液の役割を果たしている。

 よって自分はノーザンダンサーの薄い繁殖からオルフェーヴルは強い馬を出すのではないかと思っている。なのに、その推測とはかけ離れた母ミゼリコルデをなぜか指名してしまった。できたらこの考察が大外れしてくれれば嬉しいが、現時点では当馬の情報が少ないことを含めても痛恨の指名である。

 おそらく馬主は当馬の兄弟を窪田康志氏で、厩舎は関東の中堅どころになるのではないだろうか。