ジョイナスのカラオケBOX

アサヒ芸能で連載中の「ホソジュンのアソコだけの話」の書籍化、ドラマ化、もしくはアニメ化を願うだけのブログです。

[ジョイナス(Chimpo_Joinus)が選ぶアニメ・オールタイムベスト10]4位:GJ部

4:GJ部(2013)

GJ部」というアニメは様々な肩透かしをしてくる作品だ。学園祭の準備と片づけを描きながら、肝心の学園祭の最中の描写は一切ない。水着や浴衣を用意しても、プールやお祭りには行こうとしない。前戯に力を入れて、本番はおざなり、といったもどかしさがある。

そして「GJ部」にはハーレム美少女アニメにありがちパンチラやラッキースケベといった露骨なお色気描写がない。代わりにフェチズムを感じさせる描写を強く推し出す。代表的なものが「髪梳き」描写で、キョロに髪を梳かれるたびに悶えるヒロインたちの表情は私たちに愛撫を連想させる。

髪梳きにエロスを見出す発想は革命的と言わざるえない。とはいえ、ここに直接的な性描写を並べてしまったら、せっかくの革命的フェチ描写も霞んでしまうだろう。だからこそ、本番はおざなりにしなければならない。

GJ部」の肩透かしは合理性の産物なのだ。見せたいものを強調するために「本番」らしきものを放逐する。こうした方法論が徹底されているアニメである。

GJ部」では恋愛面においても肩透かしが敢行されている。監督の藤原佳幸

「京夜はそれぞれのキャラと仲良くなっているんですけど、付き合うとかそういう話じゃなく。全員とふわふわと幸せな時間を過ごして、でもそれは永遠じゃなくて去っていく先輩が寂しいなっていうことを共感してもらいたくて……」*1

と語る。たしかに主人公・四ノ宮京夜(通称キョロ)はヒロインたちにドギマギすることはあれど、彼女たちに恋愛感情を抱く素振りを見せない。

ヒロインたちの方はどうだろうか。原作の卒業式の回では天使真央(CV.内田真礼)がキョロにキスをする場面があるが、アニメでは当該のキスシーンは省かれている。「恋愛には振らない」というアニメスタッフの強い意思表示だ。これもキスシーンを期待した原作ファンからしてみれば肩透かしだったに違いない。

とはいえ、恋愛を匂わせるような描写が一切ないというわけでもない。

「お姉ちゃん、四ノ宮君が調子に乗るからチョコあげないんだって言ってましたけど、あれ嘘です。照れてるだけです」

「え」

「本当は…」

(11話「協・定・解・除」より)

姉の照れと強がりを天使恵がこっそりキョロに指摘する。「本当は…」に続く言葉を、私たちは否応なく考えさせられる。

また11話でキョロは天使家のメイドの森さんと彼女の進退を賭けた勝負をすることとなる。「負けたら四宮家のお世話になります」という森さんに、キョロはあっさり勝ちを譲ってしまう。そんなキョロに、森さんはこの一言。

「いくじなし」

(11話「協・定・解・除」より)

恵は素直になれない姉と鈍感なキョロに業を煮やしたように見えるし、森さんも草食男子的な言動をなじっているように思われる。そしては極めつけは「GJ部@」における真央の発言。

「草食動物のお前も、アメリカでは肉食がルールだからな」

(GJ部@「GJ部NYに行く」より)

このようにラブコメ的な描写を避けているようで、キョロはそれとなくプレッシャーをかけられている。それでもうんともすんとも言わないキョロの反応はヒロインたちにとって肩透かしでしかない。要するに、それとなく恋の予感を紛れさせているものの、どれも「本番」に至らないまま肩透かしされる。それが「GJ部」の流儀なのだ。

GJ部」には肩透かしな内容の中に、それとなく散りばめられたエロスやもどかしい色恋が散りばめられている。婉曲的なエロスや青春の痕跡を確かめるように注意深く見たくなるようなアニメだ。だから合う人には合うだろう。私はこういうのがすごく好きだ。

イチオシの回:「妹が4人いる!?」(6話)

「こんな可愛い妹と街を歩けてるんだぞ。すっげーうれしいだろ?」

(6話「妹が4人いる!?」より)

真央がキョロの妹のふりをしてファミレスでお子様ランチを食べる回。妹のふりをしてしれっとキョロと手をつなぐ真央は必見である。これも真央の不器用なアプローチだと思ってみると微笑ましい。

そして2人はキョロの本物の妹・霞(CV.木戸衣吹)と偶然出くわしてしまう。本物の妹と偽物の妹の修羅場は、木戸衣吹のデビュー作「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」を姫小路秋子と鷹ノ宮ありす(CV.諸星すみれ)を彷彿とさせる。そして諸星すみれは本作では真央の妹・聖羅役で出演。思わずニヤリとしてしまうようなキャスティングである。

次の7話では「中二病でも恋がしたい!」で内田真礼と共演した上坂すみれが後輩・神無月環(通称タマ)の役で登場する。本作で上坂は「凸守の声で演じて欲しい」という直球過ぎるディレクションを受けたという。こうした遊び心のあるキャスティングも本作の魅力だろう。

ただキャストで一番驚かされるのは、ジェラルディン・バーンシュタイン役の葵わかなだろう*2。EDを見ると木戸衣吹諸星すみれの間に後の朝ドラ女優の名がクレジットされている。分かっていてもたまげてしまう。

*1:別冊Spoon. vol.36 p10

*2:OPも歌っている。彼女がももクロの〇番煎じみたいなアイドルユミットに所属していたことを知っている人はどれだけいるのだろう