を発表するよ。
100. Sleve — Slave (1977)
米オハイオのファンクバンド・スレイヴのデビューアルバム。
バンド名もジャケットも強烈だが、社会派というよりはセクシーでかっこいいファンクバンド。とりわけゴリゴリとうなるマーク・アダムスのベースが印象的で、その躍動感はPファンクのブーツィー・コリンズと比較してもヒケをとらない。全編アゲアゲなファンクアルバムだ。
99. 亜蘭知子 — 浮遊空間 (1983)
亜蘭知子の3rdアルバム。シティポップブームで注目された作品のひとつ。
どこからどこまでをシティポップはいえばよくわからないが、洋楽志向、とくに80年代のブラックコンテンポラリーやニューウェイヴの影響は受ける。とはいえ典型的なシティポップっぽいのは前述の「MIDNIGHT PRETENDERS」、M3「I'm in Love」ぐらいで、M4「ジ・レ・ン・マ」やM7「HANNYA」といったアヴァンギャルドルドなデジタルポップがむしろ印象的でクセになる。ちなみに亜蘭知子はビーイング初期の所属アーティスト。よってプロデュースにはFENCE OF DEFENSE(シティハンター2の「SARA」や横山光輝三国志の「時の河」でおなじみ)の西村麻聡と一緒に長戸大幸の名前もクレジットされている。
98. Vinícius de Moraes & Baden Powell - Os Afro - Sambas De Baden E Vinícius (1966)
ブラジルのギタリスト・バーデン・パウエルと詩人ヴィニシウス・ヂ・モライスによるアルバム。ブラジル北東部の土着宗教にインスパイアされていて、ボサノヴァとは一風変わった神秘的な音楽とヴィニシウスによる味のある(上手くはない)ボーカルが堪能できる。
本作で一番有名なのはなのはM1「Canto De Ossanha」。聴き手に「Vai(行け)」とけしかけるヴィニシウスおじさんが印象的。M4「Tempo de Amor」もかっこいい。
97. Marvin Gaye - Let's Get It On (1973)
「What's Going On」の大成功でアーティストとしての地位を確立したマーヴィン・ゲイが次にリリースしたアルバム。全米1位の大ヒットだったタイトル曲(M1)は性愛がテーマの曲。イントロから女性の喘ぎ声が聞こえる曲(M7)もあり社会派作品だった「What's Going On」とのふり幅がすごい。
ハイライトはなんといっても「Let's Get It On」(M1)。ゲイのキャリアでも屈指のこのナンバーはA面の最後で「Keep Get It On」(M4)としてリプライズされる。「What's Going On」ほど引き込まれるわけではないけど、ゲイの甘い歌声と美しいサウンドプロダクションが味わえる傑作だ。
96. Blur - Parklife (1994)
ブラーの3rdアルバム。ブリットポップと聴けば真っ先に名前が浮かぶアルバム。
ライバルのOasisがよくビートルズっぽいと言われるけど、Blurの方がビートルズらしいバンドだと思っている。実験性というか曲のバラエティーというか。それはM1「Girls & Boys」、M4「Parklife」をはじめとする本作の曲目からも垣間見れるはずだ。とくにクライマックスのM15「This Is a Low」は気だるげなボーカルから英国的な哀愁が滲み出る名曲だ。
95. Parliament - Funkentelechy Vs. The Placebo Syndrome (1977)
パーラメントの6thアルバム。そして人々のファンクを麻痺させるSir Nose D'voidffunkとファンクパワーを強化するBop Gunを持ったスターチャイルドの長き戦いの序章を描いたコンセプトアルバムでもある。
世界観だけ聴くとボボボーボ・ボーボボなんだけど、理解不能なくらいハジケているというわけでもなく普通に楽しいファンク作品だ。オススメはM2「Sir Nose D'voidffunk」はPファンクの神髄を現したようなスローファンクナンバー。トリはPファンクの代表曲M6「Flash Light」が飾る。
94. David Bowie - Young Americans (1975)
"ジギー・スターダスト"をやめたボウイがアメリカの音楽を意識して作ったアルバム。ソウル色の強い内容だ。レコーディングもフィリーソウルの本場フィラデルフィアで行っている。
M1「Young Americans」、M3「Fascination」など曲単位ではかなり好きな曲がある一方で、アルバムとしては同じくアメリカ路線を意識しつつもクラウトロックに接近した「Station to Station」に劣っているとどうしても思わざるをえない。本作の中で異彩を放つがビートルズのカバーM7「Across the Universe」。本作にはジョン・レノンが参加していて、本家のアレンジに納得いかなかったジョンからしてみれば「Young Americans」の「Across the Universe」が理想らしい。僕は本家の方がはるかに好きだけど、「Noting gonna change my world」と暑苦しくシャウトするボウイは聴いてておもしろい。
93. Nirvana - MTV Unplugged In New York (1994)
ニルヴァーナのライブ・アルバム。MTVによるライブ番組「MTVアンプラグド」での演奏を収録したもの。
番組コンセプトからトレードマークの歪んだギターの轟音やメタリックなドラムを封印し、ニルヴァーナの新たな一面が引き出された。楽曲のダウナーさは繊細なアコースティック・サウンドによってより引き立った感すらあり、M6「Dumb」、M13「All Apologies」は「In Utero」でのアレンジよりもいい。ボウイのカバーM4「The Man Who Sold the World」に至っては本家を超えているといっても過言ではないぐらいだ。
92. Modern Jazz Quartet - Django (1956)
モダン・ジャズ・カルテットの作品。管楽器でなくヴィブラフォンが旋律楽器を務める編成で、ビバップの熱さとは逆行した爽やかなジャズを奏でる。
MJQのもうひとつ特色はクラシック、とりわけバロック音楽の対位法を取り入れた曲調だ。MJQを唯一無二の存在たらしめている要因の一つだが、聴いていてもっと「ジャズらしいジャズを聴きたい」という気持ちになってしまうこともある。その点でいうと「Django」はMJQの中でも「ジャズらしいジャズ」という感じで、とりわけベースのパーシー・ヒースのプレイングがクールな曲想にジャズのダイナミズムをきっちり付与している。
91. 柴田聡子 - 愛の休日 (2017)
シンガーソングライター柴田聡子の4th album。はっぴいえんど~サニーデイ・サービス的な日本語ロックの潮流を感じさせるサウンドから、つかみどころのない歌声と、ときにはコミカルでときには人生・日常を心をかき乱すほど写実的に描いた歌詞がクセになる。最新作「Your Favorite Things」もよかったけど一番はコレ。
聴きどころはM2「後悔」。ダンサブルなビートと独特なアクセントが印象的な名曲だ。アルバムのシメを飾るタイトルトラック(M13)はマシンビートをフューチャーした本作中一番アップテンポな楽曲。ミッシェル・ポルナレフの「愛の休日」を念頭に置いていると度肝を抜かれるかもしれない。
90. Steely Dan - Katy Lied (1975)
スティーリー・ダンの4thアルバム。邦題は「うそつきケイティ」。バンドの最高傑作「Aja」や本作の次に発表された昏い熱情で溢れた「The Royal Scam」と比べるとブルージーで気楽な感じの作品。個人的には「Aja」や「Gaucho」ほどではないけど好きなアルバムだ。
アルバムのハイライトはM6「Doctor Wu」。イントロの不思議なピアノのジャジーなコード、フィル・ウッズのサックスソロと後年の「Aja」(楽曲)の原型のような曲。
89. スピッツ - インディゴ地平線 (1996)
スピッツの7thアルバム。PixiesやPavementほどヒネてはないがUSインディーのような響きの曲が散りばめられたアルバム。キラキラとしたギターポップだった前作「ハチミツ」と聴き比べると雰囲気の違いが分かっていい。
ヒネてないと言ったそばからアレなんだけど、ところどころスピッツらしいヒネがある。とくに感じるのはM6「ナナへの気持ち」。「街道沿いのロイホで/夜明けまで話し込み/何も出来ずホームで見送られる時の/憎たらしい笑顔/よく分からぬ手ぶり/君と生きてくことを決めた」なんてちょっと「えぇ…」となるラブソング。好きな女の子に対して何も出来なかったくせに「君と生きてくことを決めた」なんていう情けなくも迸る自意識がローファイなビーチボーイズといったような曲調で奏でられる。個人的にもスピッツの中で十指に入る曲だ。アルバムのラストM12「チェリー」は説明不要の大ヒット曲だが、作風的にアルバムの中では正直浮いている。バンドの意思とは裏腹にレコード会社に勝手に入れられたボーナストラックのような残念さはちょっと否めない。
88. The Spiners - Spiners (1973)
邦題は「フィラデルフィアから愛をこめて」。M5「I'll Be Around」、M10「Could It Be I'm Falling in Love」といった名曲揃いの名盤。気軽に聞けるソウルのアルバムという感じ。とりわけ「I'll Be Around」は素晴らしい。
ザ・スピナーズは1954年に結成したフィラデルフィア・ソウルを代表するグループの1つ。メンバーを入れ替えながら現在(?!)も活動中というから驚き。
87. Leon Bridges - Good Thing (2018)
リオン・ブリッジズの2ndアルバム。カーティス・メイフィールドやアル・グリーンを彷彿とさせるレトロなソウルミュージック。
最近のR&Bシンガーを聴いていて気に入った一人。1989年生まれ(自分の1歳下)で世代としてはディアンジェロなどのネオソウル勢とかヒップホップ勢を聴いて育った世代だろうけど、自分としてはこういう音楽の方がとっつきやすかったりする。今回のベスト100のラインナップを見ていても、生演奏主体のオーガニックなサウンドが好みだというのは否めない。
86. David Bowie - The Buddha of Suburbia (1993)
イギリスで放映された同名のドラマ作品のサントラとして発表だったが、タイトル曲しか使われなかったという。実質的なボウイのオリジナルアルバムの一つ。
「Space Oddity」のセルフオマージュがニクいタイトル曲M1「The Buddha of Suburbia」からはじまり、盟友マイク・ガーソンの冷たく妖しげなピアノをフューチャーしたM3「South Horizon」など、わずかな製作期間で作ったとは思えない充実の内容。90年代のボウイのアルバムとしては個人的には一番好きだ。
85. Blur - Blur (1997)
本作はアメリカのオルタナティブ・ロックにかなり寄せた作品だ。その中でデヴィッド・ボウイの「Boys Keep Swinging」のパ‥‥オマージュした「M.O.R.」という曲がある。一時期のボウイも北米の音楽に接近した時期があった。同じ道を歩んだ大先輩の姿からインスピレーションを得ようとしたのだろうか。英米の折衷という意味ではM1「Beetlebum」が「ローファイでダウナーなビートルズ」を見事に体現して、何度聞いても群を抜く曲だなと思う。
84. Sly & the Family Stones - Stand! (1969)
スライ&ザ・ファミリーストーンズの4thアルバム。スライ絶頂期のアルバムで、ファンクの名盤としても名高い。
表題曲(M1)をはじめ、収録曲のほとんどが名曲。とりわけ人類の平等を明朗に歌いあげるM6「Everyday People」は普遍的名曲といっていい。個人的には真面目に愛や平等を歌うスライよりもバカらしさの中にそういったものを散りばめるPファンクの方が好きなんだけど、これはこれで好きといえるアルバム。ただ終盤に「さすがにダレるよ‥‥」と言いたくなる曲があるのが残念。
83. Charles Mingus - Mingus Mingus Mingus Mingus Mingus (1964)
チャールズ・ミンガスが64年に発表したアルバム。
大編成で録音されたアルバムで、楽曲のほとんどが過去に録音した曲の再演。ただし大編成による演奏で過去よりもパワーアップしている。とりわけM1「II B.S.」と名を変えて再演された"Haitian Fight Song"はスピーディーでより攻撃的なナンバーとして生まれ変わった。でもM6「Goodbye Pork Pie Hat」だけは「Mingus Ah Um」のVer.の方がすっきりしていていい。ちなみにM8「Freedom」はRadioheadの「Pyramid Song」の元ネタだ。
82. Stevie Wonder - Songs in the Key of Life (1976)
スティーヴィー・ワンダーの代表作とよぶべきアルバム。
2枚組の大作。1アルバムあたり長くて50分くらいでまとめてくれ~と自分は思ってる節なので、本作のボリュームは自分の中では論外。ただそれを差し引きしても収録曲が良すぎる。M5「Sir Duke」(disk1)、M1「Isn't She Lovely」(disk2)といった超有名曲があり、クーリオの「Gangsta's Paradise」の元ネタとしておなじみのM8「Pastime Paradise」(disk1)もある。そして筆者の好きなハービー・ハンコックが客演したM6「As」(disk6)なども聴きどころ。1枚ずつ時間をかけてでも聴く価値のある作品だ。
81. Radiohead - Kid A (2000)
レディオヘッドが脱ロックを掲げた問題作。バンドの目玉であったトリプルギター編成を捨て、エレクトロニカ、現代音楽、ジャズを混ぜ込んだ新しい地平に切り込んだ。マイルズの「Bitches Brew」を6分に凝縮したようなM3「The National Anthem」は今聴いてもすごい。
昔は「The Bends」や「OK Computer」で見せたギターサウンドの方が好きだが、年をとるにつれ「これはアリかも」と思うようになってくる。賛否両論を巻き起こしながらも、作品を通してリスナーの音楽的裾野を広げていく。その点でレディオヘッドはデヴィッド・ボウイに次ぐ存在だと思う。
80. さよならポニーテール - 来るべき世界 (2019)
覆面音楽ユニットの6thアルバム。それまでのアルバムのように「甘酸っぱい青春」をテーマにしたような楽曲はほとんどない。やっていることは黒人音楽のオマージュだけど、メインボーカルのみぃなをはじめとしたボーカル陣の朴訥な歌声はそのままで、ノリのいいビートと脱力性が両立した内容となっている。
アルバムの一番の聴き所はローリングストーンズの「悪魔を憐れむ歌」のように呪術的なナンバーM2「空飛ぶ子熊、巡礼ス」。シュールなMVも作られている。フィリーソウルのようなM11「世界のはじまり」から畳み掛けるようにエンディングに向かっていく流れも心地よい。
79. Radiohead - The Bends (1995)
レディオヘッドの2ndアルバム。
ザ・キュアーをはじめとしたニューウェーヴ、USグランジ、ジェフ・バックリィの影響を落とし込んだギターロック・アルバム。本作のおかげでレディオヘッドは「Creep」の一発屋にならずに済んだ。昔は大好きな作品だったが、今聴いてしまうと「こんなもんか」と思ってしまう面もあるといえばある。それは決して「The Bends」が凡作だからということではなく、次作以降の彼らの音楽的進歩が著しかったからに他ならない。
78. Clap Your Hands Say Yeah - Some Loud Thunder (2007)
クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーの2nd。ニューヨークのインディーバンドで本国ではあらゆるレーベルに属さずに作品を発表し続けている。
M1「Some Loud Thunder」がノイズがバリバリで身構えてしまうが、聴き進めてみるとポップなサイケロックという感じで聴きやすい。ひねくれて攻撃的なUSオルタナロックというよりは、UKロック的な趣の、もっといってしまえばブリットポップが去ったあとの雨後の筍のような音楽が展開されている。それゆえに当時(今でも)の自分に刺さっただろう。00年代のバンドとしては一番好きだったりする。アレック・オンスワースのヘロヘロなボーカルもクセになる。
77. スピッツ - 三日月ロック (2002)
スピッツの区切りとなる10thアルバム。
本作から亀田誠治がプロデューサーとして参加。最新作「ひみつスタジオ」まで続く、"今のスピッツ"の出発点となるアルバム。ロック回帰の前作「ハヤブサ」を踏襲しながらも、荒々しさは後退し、スッキリとしたサウンドになったという印象。それを顕著に感じられるのはM10「遥か(album mix)」で、シングル版と比べてベースの圧が減り、メリハリのついた曲になった。バンドとしての円熟味が感じられる1枚。
76. さよならポニーテール - きまぐれファンロード (2020)
さよならポニーテールの7thアルバム。
黒人音楽への傾倒が見られた前作「来るべき世界」から一転、「青春」に回帰したような内容。しかしながらタイトルの元ネタが「きまぐれオレンジロード」(80年代のラブコメ漫画)や「ファンロード」(かつて刊行されていたアニメ雑誌)であることから、もはや過ぎ去った「セピア色の青春」であることが伺える。恒例の「放課後〇〇」シリーズはM8「放課後えんどろ~る」で、「忘れないで / 好きだったことを」と青春の終わりを切なく歌う。懐古的といっても音楽的にはニューウェーヴや80年代のシンセポップなどをなぞるわけでもなく、むしろシンプルでオーガニック風になっているのが面白い。
75. Miles Davis - Milestones (1958)
マイルス・デイヴィスがモーダル・ジャズ*1を志向し出した時期のアルバム。アンビエントな雰囲気を漂わせた歴史的名盤「Kind of Blue」とは違い粗々しさを感じるがそこがいい。
タイトル曲M4「Milestones」はグリーンチャンネルの「競馬コンシェルジュ」のテーマ曲として使われていたので、ジャズを意識して聴き始める前から聞き覚えがあった。だからマイルスの他作品と比べて愛着があったりする。
74. McCoy Tyner - The Real McCoy (1967)
コルトレーンのカルテットのピアニストとしておなじみマッコイ・タイナーのリーダー作品。演奏メンバーもほぼほぼコルトレーン・カルテット。
マッコイのピアノはとにかく力強く、エルヴィン・ジョーンズの爆発的なドラミングと相まって「打楽器かよ」と思ってしまうほどの印象を受ける。ただそれぐらいのパワーがないとコルトレーンのサックスの相手は務まらないのかもしれない‥‥とコルトレーンのアルバムを聴くたびに思う。その点でいうと本作品でのテナーサックスはジョー・ヘンダーソンで、M1「Passion Dance」ではコルトレーンと比べて迫力不足というか、溌剌としたマッコイのピアノに負けている。ただ2曲目以降はそうでもないというか、とくにM4「Search For Peace」のムードたっぷりのテーマは惚れ惚れする。
73. Clifford Brown - Study In Brown (1955)
夭逝した天才トランぺッター・クリフォード・ブラウンと名ドラマー・マックス・ローチのバンドによるアルバム。
何といっても一番の聴き所はM1「Cherokee」。あいさつ代わりの超速プレイで目を覚まされたような気分になる。M4「Lands End」でのハロルド・ランド(ts)の後を継ぐソロも個人的には印象的だ。ミュート・トランぺットをしっとり聴かせるマイルズとは真逆のように思えるけど、同様の詫び寂びがあるように思えてならない。早死にしてなければどのような作品、名演奏を生み出していたのだろうか。
72. Art Blakey & The Jazz Messengers - A Night in Tunisia (1961)
アートブレイキー&ジャズメッセンジャーによる作品。
自分がジャズスタンダードの中でも特に好きな曲の一つが「チュニジアの夜」。その中でも一番お気に入りがジャズメッセンジャーズの「A Night in Tunisia」での演奏。聴いていて徹夜でヤケになっているときのような異様なテンションになってしまう。アート・ブレイキーに限らずドラムソロって曲の流れを急に止められているような気になって「早く終わってくれないかな」と思っちゃうときがあるんだけど、この演奏の場合は曲の呪術的なノリがブレイキーのソロで頂点を迎える感じになる。
71. Miles Davis Quintet - Cookin' With The Miles Davis Quintet(1957)
マイルス・デイヴィスの1957年作。俗にいう「マラソン・セッション」で生まれた作品。
「マラソン・セッション」とはコロムビア・レコードへの移籍を決めたマイルスが、所属していたプレスティッジ・レコードとのLP4枚分の契約を履行するために、短期間で行った大掛かりなレコーディング・セッションのこと。収録曲は一発録りで、収録前のやりとりまでもが録音されている。セッションの慌ただしさ、緊迫感が感じられる一方で演奏の質は高く、とくにバラードM1「My Funny Valentine」はマイルスの「リリシズム(抒情詩的)」を実感できる名演だ。
70. Miles Davis - 'Round About Midnight (1956)
マイルス・デイヴィスがコロムビア・レコードで最初に発表したアルバム。収録時期は前述した「Cookin'」に近い。
M1「'Round About Midnight」はマイルスの演奏の中でも屈指の名演と名高い。しかしながらこの演奏ではマイルスのソロはなく、染み入るようなテーマメロディの演奏だけで高い評価を得ている。これもマイルスの「リリシズム(抒情的)」がよく分かる演奏だ。テーマから意表を突くベースソロに導入する構成が面白いM6「Dear Old Stockholm」も聴きどころ。
77. Radiohead ー The King of Limbs (2011)
レディオヘッド7枚目のアルバム。レディへのアルバムとしては世間的評価は微妙だけど、「いやいや聴きどころはあるよ」と擁護したくなる作品。
「KID A」での"脱ロック"から再びバンドサウンドのダイナミズムを取り戻した前作「In Rainbows」と比べると、「KID A」の無機質さに回帰した感じがする。しかしながら「KID A」よりビートが際立った曲が多い(「Amnesiac」の「Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box」みたいな)。それゆえに曲単位でいうと際立っているのはM5「Lotus Flower」ぐらいなんだけど、最後まで楽しんで聴ける絶妙な作品となっている。
69. Pixies - Bossanova (1990)
USオルタナの雄ピクシーズの3rdアルバム。適度なひねくれ加減とキャッチーさが両立した名盤。
USオルタナのバンドのアルバムって自分としては最初は「おっ」とくるんだけど、似たような曲を延々と聴かされてるような気になって次第に飽きてしまうことが多い。そういう意味で「Bossanova」は数少ない例外的に好きなUSオルタナのアルバムだ。1曲目に60年代のサーフロックバンドのカバー(M1「Cecilia Ann」)をもってくるひねくれたセンスが強烈で、そこからM3「Velouria」M7「All Over the World」M8「Dig for Fire」と名曲ぞろいが畳みかけてくる。
68. The Police - Synchronicity (1983)
ザ・ポリスの最後のアルバム。
メンバーは結成前から元々キャリアのあるバンドマンで、初期はパンクブームにのっかってわざと下手に弾いていたというから笑える。テクニシャンの彼らがバンド内の関係が緊迫する中生み出した傑作が本作「Synchronicity」だ。エスニックな曲が並ぶA面(M1「Synchronicity I」~M6「Synchronicity II」)に、親しみやすい曲が並ぶB面続くというアルバム構成。B面は歴史的名曲のM7「Every Breath You Take」をはじめとして全て超名曲だ。
67. Bud Powell- Jazz Giant (1950)
バド・パウエルの熱気あふれる演奏が堪能できる初期作品。彼のピークは40年代後半から50年代初頭といわれ、彼の名盤といわれる作品は本作を含めてこの時期に多く集中されている。
50年台中盤以降、バドが不調だった原因は他のジャズミュージシャンと同様に、彼も薬物やアルコールに苦しめられていたからといわれる。後期のアルバムは数枚ぐらいしか聞いたことはないのだが、「クレオパトラの夢」を含めて本作でいうM1「Tempus Fugue-It」とかM6「All God's Chillun Got Rhythm」(村上春樹の短編のタイトルに借用されている)のような怒涛の勢いと言いたくなるような演奏はないように思える。自分としては一番好きなのはバラードのM4「I'll Keep Loving You」。自分としては詫び寂びのある音楽が好きなつもりなんだけど、彼の演奏を聴いてみるとダイナミックなものも悪くないなと思える。
66. Miles Davis - In A Silent Way (1969)
マイルス・デイヴィスが1969年に発表したアルバム。ロックが世界を圧巻する中で、マイルスが模索した新しい音楽の形の一つ。
翌年の超大作「Bitches Brew」と並ぶ、マイルスのエレクトリック・ジャズ期の傑作。エレクトリックギターや電子ピアノの導入もさることながら、鍵盤楽器の3つも使われていて、ポリリズミックなセッションとなっている。ジャズはフュージョンとして発展していくが、ここでマイルスが生み出したものは、Radioheadや日本のCeroといた現代のミュージシャンたちの作品の源流とみなすこともできるだろう。
65. スピッツ - ハヤブサ (2000)
スピッツの9thアルバム。J-POPのスターとして過ごした90年代からの再出発を図ったスピッツの意欲作。
元々はパンクバンドだったスピッツが本格的にロックに回帰した作品で、笹路正徳プロデュース期のようなポップな楽曲はせいぜいM6「HOLIDAY」ぐらいで、その「HOLIDAY」もストーカー・ソングというヒネぐあい。M2「放浪カモメはどこまでも」、M7「8823」、M11「メモリーズ・カスタム」といった疾走感のあるロックチューンが並び、とりわけThe Policeとパワーポップの結婚というべき「8823」は、スピッツのキャリアでも屈指の名曲だ。国民的バンドの進化が見られる名盤。
64. Led Zeppelin - Led Zeppelin IV (1971)
Led Zeppeinの4thアルバム。正式なタイトルがないので便宜的に「IV」と呼ばれてる。ブリティッシュ・ハードロックの代名詞的作品、といってもいいのではないのだろうか。
このブログの名前の由来は「アキレス最後の戦い」(「Presense」収録)からなんだけど、正直なところZEPが好きなわけではない。というのも今の自分にハードロックというジャンルがそこまで響かないからだ。それでもたまに聴きたくなるときがある。そのときつい選んでしまうのがこの「IV」だ。このアルバムのキモはM3「The Battle of Evermore」。トラディショナルで幻想的な曲なフォークソングなんだけど、マンドリンとアコギの重奏に混沌とした激しさがあり、M1「Black Dog」、M2「Rock and Roll」で生まれた盛り上がりを削ぐことなく受け止め、続く大曲M4「Stairway to Heaven」への期待感を高めてくれる。
63. Diana Ross - Diana (1980)
ダイアナ・ロスのアルバム‥‥というよりはChic feat. Diana Rossといった方がいいかもしれない。ナイル・ロジャーズのカッティングギターとバーナード・エドワーズのうなるベースがChicの音楽と同様に鳴り弾く。それらを軽快に歌い上げる歌姫ダイアナ。
実はダイアナとレコード会社がナイルたちに無断で勝手にリミックスして世に出てしまったといういわくつきの作品なのだが、個人的な意見としてはChicのアルバムよりとっつきやすい。Chicはもっとリズミカルで踊れることに特化した都会派ディスコサウンドといった感じなので、日本人的な感覚だと歌やメロディーに物足りなさを感じてしまうのかもしれない。
62. John Coltrane - A Love Supreme (1965)
ジョン・コルトレーンによる「承認」「決意」「追求」「賛美」の4パート構成のジャズ組曲。同時代のジャズ作品としては幾分アヴァンギャルドな作品だが、影響を受けた後発のミュージシャンを先に聴いた身からすればすっと受け入れられる。ただこれ以降のコルトレーンは混沌としすぎていて自分には理解できない。
はっきり言ってしまうとコルトレーンの演奏としては「Ballade」やマイルスの「'Round About Midnight」の時の方が好きだ。個人的にこのアルバムで好きなのはマッコイ・タイナーのピアノ。彼の奏でる無調性で力強い和音の一つ一つが、私を恍惚とした気分に誘ってくれる。
61. Stevie Wonder - Talking Book (1972)
スティーヴィー・ワンダー15枚目のアルバム。「Innervisions」「Fulfillingness' First Finale」と続く3部作の最初の1枚。アーティスト・スティーヴィー・ワンダー最初の傑作ともいわれる。
M1「You Are the Sunshine of My Life」、M6「Superstition」というメガヒット曲を収録。M4「Tuesday Heartbreak」、M8「Lookin' for Another Pure Love」といったわきを固める曲も両極そろいだ。残念なのが「You Are the Sunshine of My Life」の後のスロウファンクナンバーM2「Maybe Your Baby」がちょっとブレーキになってる感があるところか。それを踏まえても名作だとは思う。ただ本作が名作なら次の作品は超名作だ。
60. Weather Report - Heavy Weather (1977)
ウェザー・リポート8枚目のアルバム。フュージョンというジャンルを代表するアルバム。マイルズの「Bitches Brew」の延長線上にあった初期作品と比べると相当にキャッチーな作品となっている。
本作の最大の聴き所は天才ベーシスト・ジャコ・パストリアスだろう。彼のベースは決して縁の下の力持ちではなく、主役の一人といっていい存在感がある。M1「Birdland」ではハーモニクスでメロディーを奏で、M3「Teen Town」に至ってはほぼほぼ彼の独壇場である。「Birdland」がジャズ、フュージョンの枠を越えて人気だが、他の曲も名曲ぞろい。ウェイン・ショーター好きとしてはM2「A Remark You Made」が美しくてすき。
59. Lee Morgan - Candy (1957)
当時若干19歳のリー・モーガンが発表したワンホーン(管楽器担当1人)の傑作。サックスやトロンボーンがあったほうが音に厚みがあるかもしれないが、他のプレイヤーのソロが退屈に感じてしまうデメリットもある。その点でいうと、若さと艶のあるリー・モーガンの演奏を堪能できる本作は素晴らしい。
ソニー・クラークのピアノがリー・モーガンに負けず劣らず、かといって主役を喰わない程度に存在感を示していていい。マッコイの打楽器じみた強さとは違う、メリハリのある強さというべきか。マイルスのカバーM3「C. T. A. 」でのリーとソニーと共演は個人的なハイライト。
58. Steely Dan - Gaucho (1980)
スティーリー・ダンの活動休止前に発表された7thアルバム。「Aja」とドナルド・フェイゲンのソロ「The Nightfly」の間の作品であり、どちらかといえば「The Nightfly」に近い作風。
他のSD作品とくらべても恐ろしいほどに抑制が効いたアルバム。M1「Babylon Sisters」なんてもっとガツンとやってもよさそうな曲なのに、あえて盛り上げていないと印象を受ける。「Aja」でいうウェイン・ショーターとスティーヴ・ガットの魅せ場を粛々と演奏しているような感じ。熱量の差ということなら5thの「The Royal Scam」と聴き比べるといいかもしれない。何も考えたくない夜に聴きたくなるような静かな余韻に浸れるアルバムだ。
57. Herbie Hancock - The Prisoner (1970)
ハービー・ハンコックが1970年に発表したアルバム。傑作「Speak Like a Child」を踏襲し、複数の管楽器を採用した編成で録音された。ブルーノート・レコードでは最後の作品となる。
キング牧師の演説にちなんだタイトルのM1「I Have a Dream」から分かるように、黒人差別に対するメッセージを内包したコンセプトアルバムだ。先入観なしに聴いても挑発的に聴こえる作品で、とりわけ表題曲のM2「The Prisoner」はジョー・ヘンダーソン(ts)とハービーのソロは激しく無秩序で、バスター・ウィリアムスの規則的に鋭く鳴り響くベースと共にポリリズミカルな混沌を表現している。管楽器のハーモニーも不穏だ。もっと「Speak Like a Child」の陰に隠れているのがもったいないアルバムだと思う。
56. Parliament - Mothership Connection (1976)
パーラメントの4thアルバム。
「スターチャイルド」の初登場を描いたスペースオペラの第一章。M1「P. Funk (Wants to Get Funked Up)」から「Make my funk the P-Funk(俺のファンクをPファンクと呼べ)」と奇天烈な世界観を提示したり、M4「Supergroovalisticprosifunkstication」なんてクソ長い造語を生み出したりとイロモノ感満載なのだが、聴いてみると明るく楽しいファンク・ミュージックで、しかも上手い。一番の聴きどころはサンプリングの元ネタとしても定番の代表曲M6「Give Up The Funk(Tear The Roof Off The Sucker)」。P-Funkを象徴する一枚だ。
55. David Bowie - Let's Dance (1983)
デヴィッド・ボウイ14枚目のアルバム。カルトスターだったボウイをスターダムへと導いた大ヒット作品。
Chicのナイル・ロジャーズとの共同プロデュースで生み出された本作は、当時流行のディスコサウンドに接近した。ただ同じくアメリカンな音楽を志向した「Young Americans」、「Station to Station」とボウイっぽさは欠ける。何かを参照しつつも、ボウイ本人のアクが残ってしまうのが従来の作品だとすれば、本作はナイル・ロジャーズが綺麗に調理しすぎた感がある。しかしながらM3「Let's Dance」の一度聞いたら忘れがたいリフは、その後のボウイの迷走を代償に生み出されたとしてもお釣りがくるぐらい素晴らしく、M1「Modern Love」はボウイ屈指のロック・チューンとして永遠に語り継がれるべきだ。
54. Curtis Mayfield - There's No Place Like America Today (1975)
カーティス・メイフィールドの7th album。
この作品も先述した「Gaucho」同様にかなり抑制の効いたアルバムだ。代表曲である「Move On Up」のように分かりやすくテンションの上がる曲はなく、ゆったりした曲とした並んでいる。そんなアルバムを象徴するのがM1「Billy Jack」。抑圧的でスロウなファンクナンバーなんだけど、皮膚の下で血液が煮えたぎるようにパーカッションが随所に暴れ回っているのが印象的。憂鬱な月曜日を迎える人々に優しく歌いかけるM5「Blue Monday People」も名曲だ。
53. 椎名林檎 - 無罪モラトリアム (1999)
椎名林檎の1stアルバム。邦楽屈指の名盤のひとつ。
初期の代表曲M2「歌舞伎町の女王」、カップリング曲ながら抜群の知名度を誇るM3「丸の内サディスティック」を収録。その音楽性はオルタナティヴ・ロックと括るべきものだが、様々な音楽を折衷したサウンドを個性的なボーカルでまとめあげるという在り方はデヴィッド・ボウイを彷彿とさせる(ボウイと違ってバンドでも成功してるけど‥‥)。中でもビョークっぽいフォークトロニカからパンキッシュなサウンドに移行し、一方でメロディーがスウィングしてるM6「シドと白日夢」は本作のハイライトといえる。
51. Cannonball Adderley — Somethingeles (1958)
ジャズ・サクソフォーン奏者キャノンボール・アダレイの作品。
本作のレコーディングは企画からメンバーの選定にマイルス・デイヴィスが携わっており、実質的にマイルスのリーダー作品とも言われている。キャノンボールとマイルスは1年後にマイルス名義で歴史的名作の「Kind of Blue」を収録することになるが、個人的にはこっちのアルバムの方が好きだ。とくにM1「Autumn Leaves」はジャズ史でも屈指の名演として名高く、これを聴くだけでも価値がある。
50. Björk - Post (1995)
前衛的と評価されがちなビョークのアルバムにしてはとっつきやすい作品。とりわけM2「Hyperballad」の存在感は大きい。歌詞はやや難解ながらも、静かな導入から劇的にハウスサウンドへと展開していくインパクトのある名曲だ。他にもガーシュウィン風のM4「It's Oh So Quiet」、M8「Possibky Maybe」などテクノからジャズまで幅広いジャンルの曲が並べられているが、ごった煮感がないのはビョークの唯一無二な歌声のなせる技か。
49. The Beatles - Abbey Road (1969)
ビートルズの事実上最後のアルバム。ヘビーで名曲も多いが、通して聴くと長ったらしくて散漫な印象な「ホワイトアルバム」(1968)をすっきりと凝縮させたような会心作で、これを関係性が破綻していたバンドが最後に生み出せた奇跡である。
自分としてはM6「I Want You(She's So Heavy)」がちょいと冗長に感じる以外はだいたい大好きなアルバム。M1「Come Together」、M4「Oh, Darling!」など名曲そろいのA面も、テンポよく流れるB面のメドレーもいい。とりわけ終盤のM14「Golden Slumber」、M15「Carry That Weight」の流れは感動的だ。
48. David Bowie - Scary Monsters (1980)
ボウイがベルリン3部作の後に発表した通算13枚目のオリジナル・アルバム。M1「It's No Game」の珍妙な日本語ナレーションからはじまる本作は、グラム時代とはまた違う「ひねくれロックスター」としてのボウイを味わえる作品だ。キング・クリムゾンのロバート・フリップが参加した本作はギターサウンドの重厚感があり、アヴァンギャルドさと硬質なバンドサウンドの折衷に成功している。
過去のヒット曲の登場人物"トム少佐"をただの薬物中毒者と切り捨てるM4「Ashes To Ashes」が印象的。こうした自分の過去を否定する態度は、ボウイの革新性の一部ともいえ、ある意味ではデヴィッド・ボウイを象徴している。この姿勢の行く末が「Let's Dance」以降の迷走につながってしまうわけだが‥‥。
47. フィッシュマンズ - 宇宙 日本 世田谷 (1997)
フィッシュマンズの8thアルバム。俗にいう「世田谷三部作」の3作目。
浮遊感のあるダブサウンドと美しいメロディーを追求した日本ポップ史に残る名盤。徹頭徹尾素晴らしいが、とくにM8「Walking In The Rhythm」が圧巻。12分超の大曲だが、最後まで聴けてしまう。同じリズム、メロディーを反復させながら宇宙のように展開していく様はバッハのシャコンヌのようだ。
46. Prince and The Revolution - Around The World In A Day (1985)
プリンス7枚目のアルバム。大ヒット作「Purple Rain」から1年足らずでリリースされた本作はロック色の強い前作とは打って変わってサイケデリックな作風。セールス面では「Purple Rain」に及ばなかったが、当時ノリに乗っていたプリンスの創作性がアルバム全編に渡って爆発している。聴いていて飽きのこない名作。
聴き所はM2「Paisley Park」、M4「Raspberry Beret」、M6「Pop Life」といった良質なポップソングだが、タイトルどおりの横断性も魅力だ。M1「Around The World In A Day」のアラビアンなイントロからはじまり、サイケ、ロック、ファンク、ジャズとジャンルを横断していく。
45. Herbie Hancock - Maiden Voyage (1965)
ハービー・ハンコックの1965年作。マイルス・デイヴィス・クインテットの一員として活動していた彼の出世作だ。
海をコンセプトにした作品で、ハービーの軽やかで穏やかなピアノが冴えわたる。個人的にはこのアルバムのフレディ・ハバード(tp)が大好きで、とくに個人的にはさわやかなボサノバ風サウンドの中でフレディの攻めたソロが光る表題曲M1「Maiden Voyage」は絶品。他にはフレディとジョージ・コールマンによるテーマが後の「Speak like a Child」の管楽器ハーモニーへの発展を予感させるM6「Dolphine Dance」など、名演奏だらけの名盤だ。
44. Freddie Hubbard - Ready For Freddie (1962)
フレディ・ハバードによるリーダー作品。クリフォード・ブラウン然り、リー・モーガン然りジャズの歴史には若き天才トランぺッターが何人も存在するがフレディもその一人。他の天才と比べてフレディにどういう特徴があるのか‥‥というのは自分にはうまく説明できないが、「Ready for Freddie」が傑作を生みだしたということは間違いないだろう。
本作では珍しくユーフォニアムが採用された三管編成で、厚みのある華やさとしっとりとしたムードが両立されている。「しっとり」を顕著に感じられるのはM5「Crisis」。この曲は本作のレコーディングから僅か2か月後にジャズ・メッセンジャーズのアルバム「Mosaic」のレコーディングでも演奏されている。JM版「Crisis」はスウィンギングで、アート・ブレイキーがいつもの絨毯爆撃のようなドラミングで盛り上げる楽しい曲になっているが、「Ready for Freddie」では陰影を感じるアレンジとなっている。マッコイ・タイナーも打楽器的バッキングを封印してるし、エルヴィン・ジョーンズのドラムソロも抑制的だ。
43. 相対性理論 - シフォン主義 (2007)
相対性理論の1stアルバム。ポストパンク/ニューウェーブ期のバンドを思わせるようなサウンドと、ユニークな歌詞とやくしまるえつこの個性的なボーカルで日本の音楽シーンに衝撃を与えた。
相対性理論は既存の音楽のフォーマットに則りつつも、独特のメロディ、遊び心のある歌詞で独自の色を出し、初期の段階から完成されていた。真部脩一(近年はAno「ちゅ、多様性。」で話題になった)が在籍していた初期こそがよかったというリスナーは少なくなく、自分もそのクチだったりする。1stアルバム「シフォン主義」はミニアルバムながら洗練された相対性理論の魅力を一番味わえるアルバムで、「相対性理論を聴きたい」と思ったら「シフォン主義」をついつい選んでしまう。
42. David Bowie - Low (1977)
元ロキシー・ミュージックのブライアン・イーノが参加した「ベルリン3部作」の1作目。ボウイの最高傑作として名前が挙がることも多く、ボウイを語るうえで避けては通れない作品。M8「Warszawa」以降はインストで、当時のジャーマンロックからの影響が伺える。
41. Jamiroquai - The Return Of The Space Cowboy (1994)
イギリスのアシッドジャズバンド・ジャミロクワイの2ndアルバム。「Virtual Insanity」収録の「Travelling Without Moving」の1つ前のアルバムになるが、ファンクな魅力は勝るとも劣らない。
思えばジャミロクワイがファンクとの出会いだった気がする。部室にあった誰のものかも分からない「The Return Of The Space Cowboy」のCDを拝借してきたのがきっかけ。以来自分の愛聴盤となる。改めて聴くとファンク期のハービー・ハンコックのようなサウンドだなあ、とか思ったりするけれど、ジェイ・ケイのスウィートボイスで歌われるジャミロクワイの楽曲は、スライやPファンクのドロっとした感じとはまた違った魅力がある。おすすめ楽曲はM11「Space Cowboy」。実のところアルバムver.よりもサイケでキマッてるシングルver.のほうがすきだったりする。PVもなんか葉っぱ(意味深)の幻覚みたいなのが出てくるし。
40. Funkadelic - One Nation Under A Groove (1978)
ジョージ・クリントン率いるファンカデリック10枚目のアルバムにしてPファンクの代表作の1つ。
ロックバンドであったはずのファンカデリックがファンクに浸食された作品。ブラックロック路線よりも個人的にはこちらの方が好きだ。「One Nation Under A Groove(1グルーヴの下に1つの国家)」というタイトルからして、パーラメント的なファンクオペラ的世界観を感じさせるし、メチャ長い造語(M3「Promentalshitbackwashpsychosis Enema Squad (The Doo Doo Chasers)」)のもパーラメント的だ。ラテン風でダンサブルな表題曲(M1)はとにかく名曲。
39. John Coltrane Quartet - Ballads (1962)
ジョン・コルトレーンによるジャズ・バラード集。コルトレーンのアヴァンギャルドではない、穏やかでロマンチックな歌心が発揮された1枚。
コルトレーンのアヴァンギャルドな演奏は当時は賛否両論だったという。否定派を唸らせるためにインパルス!レコードのプロデューサーが主導して生み出したのがこの「Ballads」。1曲が長く前衛的なコルトレーンの他の作品と比べたら聴きやすいアルバムで、リズミカルなM4「All or Nothing at All」が中盤で挟まるからか聴いていてダレない。ただそれでも全てのアンチに認められるには至らず、星を2つしかつけなかったジャズ誌も‥‥。しかし今ではコルトレーンの代表作のひとつ、というかジャズのバラード集の定番として認知されている。
38. John Coltrane - My Favorite Things (1961)
ジョン・コルトレーンが1961年に発表した作品。自分がコルトレーンで一番好きなアルバムだ。
収録曲はすべてミュージカル曲だが、コルトレーンらしい創造性あふれる演奏でジャズとして生まれ変わっている。とりわけM1「My Favorite Things」は原曲がなじみ深いだけに、「形式と逸脱」というジャズの魅力が分かりやすく伝わってくる。本作ではアルバムのA面はソプラノ・サックスを吹いているが、個人的にはテナーの渋い音色の方が好きなのでB面のM3「Summertime」の方が好きだったりする。選曲がとっつきやすいだけにジャズ入門としてもオススメかもしれない(演奏時間が長くて引いちゃうかもしれないけど‥‥)。
37. David Bowie - ★(2016)
デヴィッド・ボウイの遺作。ケンドリック・ラマー、ボーズ・オブ・カナダ、デス・グリップスといった新しい世代のアーティストから影響を受けている。新しい音楽を追求しつつも過去作のサンプリングも随所に伺えるボウイの集大成といって過言でないアルバム。
ロバート・グラスパーやサンダーキャット、カマシ・ワシントンが参加したケンドリック・ラマーの「To Pimp a Butterfly」を意識したのか、本作にも現代のジャズミュージシャンが多く参加している。その中でも大きな役割を果たしているのがマーク・ジュリアナのドラム。エレクトロニカなダンスビートまで叩く多彩にして異才な彼の実力がM1「★」で顕著に味わえるだろう。
36. Orange Juice - Rip It Up (1982)
スコットランド出身のバンド・オレンジジュース2枚目のアルバム。
オレンジジュースは日本の音楽メディアに「ネオアコ」というジャンルの代表格として紹介されていた。そんな彼らの最大のヒット曲でもある表題曲M1「Rip It Up」はシンセベースが特徴的なダンスポップで、まったくもってアコースティックではない。実態としてはソウルミュージックの影響を受けたニューウェーブ/ポストパンクのバンドだ。ソウルといってもボーカルのエドウィン・コリンズのボーカルは黒人シンガーたちの甘く優しい歌声とは程遠く、エルヴィス・プレスリーまたはモリッシーのようなねちっこい歌声。それがクセになる。
35. Curtis Fuller - Blues-Ette (1959)
トロンボーン奏者カーティス・フラーのリーダー作品。モダンジャズの傑作のひとつ。日本でもなじみの深いM1「Five Spot After Dark」が収録されている。
トロンボーンのほわーんとした響きは厚みのあるハーモニーを生み出すが、旋律楽器としては正直弱い。トランペットとサックスの物凄いソロの後にトロンボーンのソロがあると(たとえすごく上手かったとしても)聴いててほわーんとした感じになってしまう。ただ本作では編曲の妙でトロンボーンの弱みが補われていて、他のプレイヤーたちのプレイングもトロンボーンを悪目立ちさせないものとなっている。とくにトミー・フラナガンのピアノは"名盤請負人"たる所以を感じられる絶妙な演奏だ。ベニー・ゴルソン(ts)がプレイヤーとして頑張りすぎてる場面はところどころあるけれど、それでもブルージーで聴きごたえのある作品であることは間違いない。
34. Radiohead - Amnesiac (2001)
レディオヘッドの5thアルバム。
「Kid A」における脱ロックからレディオヘッドが新たなステージに移行した作品。電化マイルスを彷彿とさせるM1「Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box」、チャールズ・ミンガスのオマージュM2「Pyramid Song」などジャジーな作品群のほか、ザ・スミスのような陰鬱なギターロックM5「Knives Out」など、エレクトロニカに接近した「Kid A」と比べると有機的なサウンドとなっている。終盤の曲目にパンチ弱さを感じなくもないが、「Kid A」の陰で過小評価されているのは勿体ない名作だ。
32. Lee Morgan - Cornbread (1967)
ジャズ・トランペット奏者リー・モーガンのリーダー作品。参加メンバーはハンク・モブレーの「Dippin'」とほぼかぶっている。
管楽器3人からなるセクステット編成の本作はモーガンのブルーノート発表作としては目立たないっていない。しかしながら聴いてみるとわずか5曲ながら捨て曲なしで聴きごたえがある個人的な愛聴盤。バラエティに富んだ選挙区で、とくにボサノバタッチでしんみりとしたM3「Ceroa」は、ハービー・ハンコック(p)のおとなしめの演奏も相まって素晴らしい。天才モーガンのファンキーでノリにのった演奏が堪能できるM2「Our Man Higgins」も魅力的。当時のブルーノートに引っ張りだこだったサイドマンのラリー・リドレーの粋なベースプレイも全編にわたって冴えている。
31. The Beatles - Magical Mystery Tour (米国版) (1967)
元々はイギリスで同名のテレビ映画(評価は芳しくない)のサントラとして発表された作品だが、アメリカで既発売のシングル曲集を付け加えた特別編集版として発売され、後にイギリスでも同じものがCD化した。
この記事ではオリジナルアルバムではないものは意図的に省くつもりだったが、例外的にこのアルバムは挙げさせてもらった。なぜならビートルズにとって重要曲があまりにも多く収録されたアルバムだからだ。元々のサントラ版もM1「Magical Mystery Tour」、M2「The Fool On The Hill」、M6「I Am The Walrus」といったパンチの強い曲が収録されているのだが、圧巻はシングル集。とりわけM9「Penny Lane」はビートルズの最高傑作だと個人的に思っている。
30. David Bowie - Station to Station (1976)
デヴィッド・ボウイ9作目のアルバム。
アメリカ音楽に接近した「Young Americans」とクラウトロックに影響された「ベルリン3部作」の間に作られた作品で、過渡期的な作風となっている。どちらかといえばファンクやソウルの要素が強い一方で、黒人音楽をできるだけ模倣しようとした「Young American」やナイル・ロジャーズによって味付けされた「Let's Dance」と比べるとボウイのヒネたセンスやメロディが強目に出ている(M2「Golden Years」は典型例といえる)。あらゆる要素を折衷し、「デヴィッド・ボウイの音楽」に変換していくボウイの唯一無二の個性がキャリアで一番発揮されてるかもしれない。収録曲は6曲と少ないが、その分身の詰まったアルバムだ。
29. Donald Fagen - The Nightfly (1982)
スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンのソロ1stアルバム。デジタル録音最初期のアルバムにして、音質の優れたアルバムとして未だに引き合いに出される作品。
スティーリー・ダンのアルバム同様、ラリー・カールトンらジャズ畑から腕利きのミュージシャンを集めて収録された本作。レゲエっぽいサウンドのM1「I.G.Y.」、ドリフターズのカバーM3「Ruby Baby」など明るい楽曲があって「Gaucho」よりは華がある作品だが、フェイゲンの精神をすり減らすほどこだわり抜いたサウンドは「Gaucho」の抑制的な空気をどこか漂わせている。
28. Oliver Nelson - The Blues and the Abstract Truth (1961)
ジャズ・サックス奏者オリヴァー・ネルソンのリーダー作品。
タイトル通りブルースという形式にこだわったアルバムだが、型にはまっているのに型破りな印象を受ける。その立役者となっているのがエリック・ドルフィー(f, as)。プレイヤーとしては自由すぎて苦手な部類なんだけど、本作においては彼の独特のアドリブがブルースという形式の中で大暴れし、その影響が周囲に波及していく様が面白い。とりわけM6「Teenie's Blues」で急にフリージャズに突入するネルソンは見物。M1「Stolen Moments」はジャズスタンダードとしても親しまれている。
27. My Bloody Valentine - Loveless (1991)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの2ndアルバム。シューゲイザーというジャンルを代表する名盤。
実のところシューゲイザーというジャンルがアルバムを通して聴くほど好きではないのだが、この作品だけは別枠だ。"ウォール・オブ・サウンド"ばりに重ねられたノイズと美しいメロディーが重なり合い、不思議とアンビエントを聴いているような心地よさを生んでいる。M5「When You Sleep」のようなギターポップ寄りな曲を挟みつつ続く50分弱のトリップは30年経った今聴いても色あせない。
26. スピッツ - ハチミツ (1995)
スピッツの6thアルバム。洋ロックからの影響を感じさせる初期を経て、ポップな路線に転換したスピッツがついにブレイクしたスピッツが世に送り出したベストセラー。
どの曲も一聴した感じでは親しみやすいギターポップ作品だが、草野マサムネの詞は時々エロスやグロテスクさを垣間見せる。とりわけM5「愛のことば」の「優しい空の色 / いつも通り彼らの/ 青い血に染まった / なんとなく薄い空」というフレーズは重苦しいが、草野はこれを飄々と歌う。ヒネたりおぞましかったりするのに、ヒステリックでもメランコリックでもないし、マッチョでもなく、ただ泰然として親しみやすい。そんな国民的バンド像を本作で確立したといえる。そして作者の草野をして「地味な曲を作ってしまった」と評されたM8「ロビンソン」は、バンドの代表曲というだけでなく、J-Popの金字塔となった。
25. David Bowie - Hunky Dory (1971)
デヴィッド・ボウイの4thアルバム。ボウイ最初の名盤というべき作品。
ボウイの代表曲の1つである冒頭のM1「Changes」をはじめ、M2「Oh! You Pretty Things」M5「Kooks」M6「Quicksand」M10「Queen Bitch」などの数々の佳曲はボウイのソングライターとしての充実ぶりを伺わせる。なかでも特筆すべきはM3「Life On Mars?」。フランク・シナトラの「My Way」のパロディであるこの曲は、家から逃げて映画館に入り浸る少女の曲である。死に際に人生を肯定的に振り返る曲から、人生に不安を抱える若者の歌を生み出すシニカルさ。ドラマチックな歌声と相まってボウイのキャリアの中でも抜き出ている。
24. David Bowie - Aladdin Sane (1973)
デヴィッド・ボウイ6枚目のアルバム。
ローリングストーンズのような快活なロックナンバーM1「Watch That Man」から始まる本作は、ミック・ロンソンをはじめとしたバンドの演奏は充実を伺わせる。しかしながら何と言っても本作の主役は本作から参加したマイク・ガーソンのピアノ。タイトル曲M2「Aladdin Sane」のアナーキーな演奏から、M6「Time」の緊迫感ある演奏、M8「Let's Spend the Night Together」での軽快なバッキングといい、時に不協和音を携えながら縦横無尽な活躍を見せる。最後はM10「Lady Grinning Soul」で妖しく締め、本作を狂気的に彩る。彼の存在が本作に「ジギー・スターダスト」にはない魅力をもたらしているといえよう。
23. The Smiths - Meat Is Murder (1985)
ザ・スミスの2ndアルバム。「食肉は殺人」。こんな過激なアルバムが当時のイギリスチャートで1位を獲ったというのだからすごい話だ。
ザ・スミス=モリッシーの言葉は弱者の憤りで、それを文学的かつ大胆に綴った詞は昔の自分には魅力的に映った。ただ、普通の人間がモリッシーの真似をしたら嫌われるだけ。それはそれとして、ジョー・マーの組み立てる音楽は美しく、モリッシーの歌は上手くはないが、妙な色気がある。2人の存在が強すぎて目立ってないけれどリズム隊の演奏も上手く、とくにM9「Barbarism Begins at Home」は児童虐待というテーマを忘れそうになるぐらいにはファンキーだ。
22. Kenny Dorham - Quiet Kenny (1960)
ケニー・ドーハムが1960年に発表した作品。
本作の「静かなるケニー」というタイトルがたたり、いぶし銀のトランぺッター扱いされているケニー・ドーハム。「Una Mas」「Afro-Cuban」といったファンキーな作品も出しているのだが‥‥。ただ本作を聴くといぶし銀扱いも納得できるかもしれない。「いぶし銀」がドーハムなら「金」はクリフォード・ブラウンやマイルス・デイヴィスだろう。ドーハムに彼らほどの華はないかもしれないが、天才や帝王ゆえの圧というか押しつけがましさもない。「俺の超絶的なプレイを聴け」とか「リリシズムに酔いしれよ」みたいな、そんなナルシスティックさのない演奏をしている。タイトル通り、静かに聴ける名盤だ。あと名盤請負人トミー・フラナガンが本作でもいい味を出している。
21. Stevie Wonder - Innervisions (1973)
スティーヴィー・ワンダー16枚目のアルバム。
モータウンレコードの管理下から離れ、アーティストとして結実した成果が前作「Talking Book」だとすれば、それから1年足らずでリリースされた本作はまさにまだ21歳の天才の打ち立てた金字塔といえる。ほとんどの楽器をスティーヴィー本人が担当。ARPシンセサイザーを駆使して紡がれたサウンドは、スティーヴィーの熱唱と相まって躍動感があり、とりわけ不平等への怒りを歌うM3「Living For the City」からM4「Golden Lady」のコントラストは美しい。他にもレッチリのカバーでもおなじみのM5「Higher Ground」やラテンナンバーM8「Don't You Worry 'bout a Thing」を収録。
20. さよならポニーテール - 銀河 (2021)
さよならポニーテール8枚目のアルバム。
さよポニは5人の声質の異なる女性ボーカルのハーモニー、掛け合いが魅力の音楽ユニットだったが、近年では各楽曲に1人ないし2名のボーカルしか参加しない。複数人体制の作曲陣の存在も相まって後期ビートルズのような感じになっており、本作「銀河」本作に関していえばメインの5人ではなくユニットのソングライター・メグがボーカルを務める曲(M7「ちいさなへいわ」)まであり、そのオムニバス感はピークに達している。総再生時間40分少々ながら「銀河」のような広がりをもった傑作ポップアルバムだ。とりわけ、ユニットのメインボーカルみぃなが歌うM1「はじまった」は至高の一曲。
19. Primal Scream - Screamadelica (1991)
プライマル・スクリームの3rdアルバム。「マッドチェスター」を総括する作品。
プライマル・スクリームはスコットランド出身のバンドで、アルバムごとに節操なく音楽性を変えていくのが特徴。そんな彼らが3作目に志向した「マッドチェスター」とは、80年代末期から90年代初頭にかけてイギリス・マンチェスターを中心に隆盛したレイブカルチャーやドラッグに影響された音楽カルチャーで、その担い手のバンドたちはダンサブルでサイケデリックな音楽を追求した。酒を飲まず禁煙にも成功している健康優良児の自分にはピンとこないカルチャーだけど、それでも「Screamadelica」を初めて聞いたときのショックは大きかった。とりわけM4「Higher Than the Sun」の重いビーツにはむしろ太陽が落ちてきたような衝撃だった。
18. スピッツ - Crispy! (1993)
スピッツの4thアルバム。ブレイク前のスピッツの転機となった作品。
外部プロデューサーとして笹路正徳を迎えた結果、初期3部作からはかけ離れたポップなアルバムが出来上がった。バラエティに富んだ作品で、J-POP然としたバラードM4「君が思い出になる前に」とM6「夢じゃない」にご機嫌なジミヘン賛歌のM5「ドルフィン・ラブ」が挟まれるのが象徴的。The Cureっぽいギターが鳴り響くM8「タイムトラベラー」には初期スピッツの名残を感じる。発売当初はセールスに恵まれなかったが、世間に親しまれているスピッツは本作からはじまったと言っても過言ではないだろう。自分の中のスピッツのNo.1アルバム。
17. くるり - Team Rock (2001)
くるりの3rdアルバム。彼らの代表曲であるM2「ワンダーフォーゲル」、M9「ばらの花」を収録。
「いらんいらん / もういい / あぁ全部いらん / ロックチームくるりの抱える苦悩」と吐き出すタイトルトラックM1「TEAM ROCK」ではじまる本作は、よく言えばバラエティ豊か、悪く言うと節操のないアルバムだ。当該曲は不協和音、ラップ、ボイスパーカッションとロックバンドらしからぬハチャメチャさがあり、「なんでもやってやるぞ」という意欲を感じさせる。他の曲もシューゲイザー、エレクトロニカ、古典ロック、カントリーと万国博覧会のようなしっちゃかめっちゃかさで、中には元ネタが伺えるような曲も(たとえばM11リバーは「Octopus's Garden」を引用している)。こうした突き抜けた節操のなさが個人的には好印象だ。ごちゃごちゃしてると言ってもビートルズの「ホワイトアルバム」よりも遥かに短い(45分56秒)ので「いろいろやってんなぁ」と思ううちに聴き終えることができる。
16. フィッシュマンズ - Orange (1994)
フィッシュマンズの4thアルバム。
メディア・レモラス(現ポニーキャニオン)在籍時の最後のアルバム。レゲエよりもファンク色の強さが印象に残り、とりわけ実質的オープニングナンバーM2「気分」はファンキーでアグレッシブなギターサウンドで盛り上げる。M3「忘れちゃうひととき」やM4「My Life」のような親しみやすい曲がある一方で、後の作風に繋がるような曲(M9「夜の想い」)も収録されていてバランスがいい。個人的には世界的に評価が高い「世田谷三部作」よりも好きなアルバムだ。
15. Herbie Hancock - Speak Like A Child (1968)
ハービー・ハンコックによる「少年時代」をコンセプトにしたアルバム。個人的にハービーのベストアルバム。
ピアノ・ベース・ドラムのトリオにアルトフルート、フリューゲルホルン、ベーストロンボーンの3管という編成で、そのうえソロを担当するのはピアノのハービーだけという他にはないジャズアルバム。主役はハービーだが、3管のアンサンブルがトリオものでは味わえない色彩を各曲に全編通じて付与している。ボサノバタッチの表題曲はM2は軽やかで複雑なハービーの真骨頂が現れていて、3管が曲に鮮やかに表情をつけている。M1「Riot」はマイルスの「Nefertiti」のバージョンの方が「暴動」にふさわしい混沌とした出来合いだが、ハービーの独壇場となっている本作の演奏もいい。
14. Wayne Shorter - Speak No Evil (1966)
ウェイン・ショーターのリーダー作品。魔術をコンセプトにしたモーダル・ジャズアルバム。
参加ミュージシャンはウェインが当時所属していたマイルスのバンドのメンバーが中心で、ウェイン・ショーター(ts)、フレディ・ハバード(tp)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)と錚々たる面子だ。魔術がコンセプトだけあって妖しいムードが漂う楽曲がばかりだが、ハービーとエルヴィンの暴れっぷりが印象的。マイルスという怖いボスのいないところで、勢いのあるメンツが好きにやっている感がよい。そんな中でもウェインが娘に捧げたM5「Infant Eyes」だけは毛並みが違うしっとりとしたバラード。
13. Miles Davis - Nefertiti (1967)
マイルス・デイヴィスのスタジオアルバムとしては最後のアコースティック編成の作品。
聴きどころはなんといっても表題曲M1「Nefertiti」。この曲にはいわゆるソロパートがない。マイルス(tp)とウェイン・ショーター(ts)が延々と同じテーマを吹き続け、リズム隊3人が暴れる。とりわ弱冠21歳のトニー・ウィリアムズ(ds)のプレイが凄まじい。"帝王"マイルスは他人のリーダー作品でも主役を喰ってしまうような存在感が良くも悪くもあるけれど、本作に関して見ればマイルスというよりは"黄金のクインテット"が凄いとしか言えない。アコースティック時代の有終の美としてはこの上ないアルバムだ。
12. Cero - POLY LIFE MULTI SOUL (2018)
Ceroの4thアルバム。アフロビートを基盤としながら、ジャズ、ラテン、ハウスなどの要素も織り交ぜた先鋭的かつポップな作品。
かつてトーキングヘッズがやっていたことをバージョンアップさせたような印象を受ける。リズミカルでいて歌ものとして素晴らしく、とくにM2「魚の骨 鳥の羽根」を最初に聴いたときは衝撃的だった。「Floating on water / たゆたう フレグランス / 心のない 動物たちの口づけ」のパンチラインもすごい。これほどの作品を日本のバンド、しかも自分とそう年齢の変わらない人たちが作ったんだから驚くしかない。
11. Marvin Gaye - What's Going On (1971)
モータウン・レコードに管理されることを厭い、セルフプロデュースの道に切り出したマーヴィン・ゲイがが世に送り出した不朽の名作。
A面の6曲が組曲のような構成になっており、クラシックのような重厚さとソウルミュージックのグルーヴを同時に味わえる。率直にいうと、単品で聴きたいのは表題曲(M1)とM2「What's Happening Brother」、 M6「Mercy Mercy Me (The Ecology)」、M9「Inner City Blues」ぐらいだが前述した構成と、ハイレベルな演奏陣、とりわけジェームス・ジェマーソンのファンキーで躍動感のあるベースプレイのおかげで通して聴いていて退屈しない。あらゆるオールタイムベストで高評価になるのも頷ける傑作だ。
10. The Beatles - Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (1967)
ビートルズ8枚目のアルバム。「架空のバンドの公演」をテーマにしたコンセプトアルバム。
自分がビートルズのアルバムの中で一番聴きこんだ作品。正直なところ「架空のバンドの公演」というには実験的すぎるのでは?という曲が少なくなく、コンセプトアルバムとしては徹底されたものではない(ジョン・レノンも認めている)。しかしながら「コンセプトアルバム」というハッタリを聴かせることで、雑多な曲目にまとまるがあるような錯覚を生じさせている。当時のバンドの公演の曲目としては壮大すぎるM13「A Day In The Life」もアンコールとして聴けてしまう。ビートルズのポップセンスと実験性とハッタリが効いた奇跡のような傑作だ。
9. The Beach Boys - Pet Sounds (1966)
説明不要の名盤。しかしながら全米チャートでは10位と奮わず。たしかにそれまでのサーフロックのイメージからかけ離れたアルバムなので、保守的なリスナーから拒絶されるのは分らんでもない。甘美なサウンドと裏腹に収録曲の内容は女々しいというか鬱々しいし。本国のリスナーとは逆にイギリスでは大絶賛だったというのが面白い。
自分はB面が大好きで、とくにM8「God Only Knows」が自分の葬式に流したいくらいには好き。シメは憧れの女性の変貌を嘆くM13「Caloline, No」。息が止まるほど女々しくて素晴らしい。今回再聴してかなり好きになったアルバムでもある(当初は70位ぐらいのつもりだった)。
8. David Bowie - Lodger (1979)
デヴィッド・ボウイの12thアルバム。ブライアン・イーノとタッグを組んだベルリン3部作の最終章。
前2作のようなインストルメンタルはなくアンビエント要素が後退している。その代わりにワールドミュージックからの影響が強く、とくにA面はオリエンタルな実験作品が並ぶ。一方前2作ではインストルメンタルが並んでいた後半はM7「Look Back in Anger」、M8「Boy Keep Swinging」といった歌モノが占める。実際のところ3部作のラストというよりは前2作と「Scary Monsters」の過渡期に位置する作品といった方がいい気がする(そもそもベルリンで収録してないし)。世間的評価は前2作に劣るけれど、イーノの影響力が弱まり、ニューウェーブの兆候が垣間見える本作こそに、最後まで変革を続けたボウイの本質があるように思えてならない。
7. Steely Dan - Aja (1977)
スティーリー・ダンの6thアルバム。
腕利きのスタジオミュージシャンを集め、納得いくまで何度も録り直して作られたポップ史に残る芸術作品。どの楽曲でも様々なミュージシャンが創造性の高い演奏が聴けて、まるで金太郎飴のようにどこを切りとっても楽しめる。とりわけ表題曲M2「Aja」は間奏でのスティーヴ・ガット(dr)とウェイン・ショーター(ts)のセッションは物凄い。ポピュラー・ミュージックに参入して貫禄のある演奏を見せるウェインもさることながら、それに応戦するガットのドラミングが目まぐるしく、アート・ブレイキーやトニー・ウィリアムスですらこうは叩けないんじゃないのか?と思わせられるほどだ。
6. Ahmad Jamal Trio - The Awakening (1970)
アーマッド・ジャマル・トリオによる作品。多くのジャジー・ヒップホップ楽曲の元ネタが多く収録されていることでも有名。
ピアノトリオものとしてダントツに好きなアルバム。ハービー・ハンコックのM3「Dolphin Dance」、オリヴァー・ネルソンのM6「Stolen Moments」、アントニオ・カルロス・ジョビンのM7「Wave」などの定番曲のカヴァーもさることながら、一番の聴きどころはM2「I Love Music」。3分ほどジャマルの独奏が続いたあとにベースとドラムが入る瞬間ははっとする。ジャマルの演奏はタメがあり、ひねりがきいていて、時々ダイナミック。聴いていて飽きない作品だ。
5. Radiohead - In Rainbows (2007)
レディオヘッドの7thアルバム。リスナーが価格を自由に決定する販売方式で当時は話題となった。
「OK Computer」以降、エレクトロニカ等他ジャンルを参照した音楽を作り続けたレディオヘッド。「In Rainbows」は諸要素をバンドサウンドの中に落とし込み、メリハリのある構成でまとめあげた彼らの集大成といえる作品となっている。その象徴といえるのがM1「15 Step」。初めて聞いたときにダンサブルなエレクトロニカサウンドが、そのビートを保ったままハイファイなギターサウンドに浸食されていく様にすごく興奮したのを覚えている。Radiohead入門としてもオススメできる名盤だ。
4. Radiohead - OK Computer (1997)
レディオヘッドの3rdアルバム。ロック史に残る名盤。
初めて聴いたときは衝撃より困惑が勝った。しかしもう一度聴いてみたときには、レディオヘッドのことが好きになっていた。昔は先進的な作品であったが、もはや30年近く前の作品であり、完成度という点ではもっと高いアルバムがレディオヘッドの諸作品の中にはある。しかしながら「なんだこれは」と思った音楽をいつの間にか好きになる原体験は忘れがたい。最も私を困惑させた大曲M2「Paranoid Android」も、6分23秒があっという間に感じるぐらいには大好きになったし、今でも好きだ。
3. The Smiths - The Queen Is Dead (1986)
ザ・スミスの3rdアルバム。英国ロックを代表する名盤。
「Meat Is Murder 」以上にセンセーショナルなタイトルだが、イギリスチャート2位。チャートの最高順位は前作劣るものの、アルバムとしては"ポストパンク"という括りの最高峰でしかなかった「Meat Is Murder」と比べて一段階上の出来栄え。表題曲(M1)やM6「Bigmouth Strikes Again」における攻撃的なジョニー・マーのギターは冴えわたり、モリッシーの毒はより深みを増した。「あなたがそんなに面白い人ならなぜ今夜独りぼっちでなの?」と孤独を嘲るM3「I Know It's Over」、「2階建てバスが突っ込んできて君と一緒に死ねたら最高だ」と吐露する「There Is A Light That Never Goes Out」はナード音楽の金字塔だ。
2. The Stone Roses - The Stone Roses (1989)
ストーン・ローゼズの1stアルバム。
英会話教室のロック好きのイギリス人講師に布教され、以来20年近く聴き続けている。彼のすすめてくれた音楽はストーンズやキンクスやZEPといったクラシックなバンドの作品が多かったが、その点でいうとローゼズは新しめのバンドだ。ただ60年代のサイケロックに近く、音楽的にはラインナップの中で決して浮いてはいない。ブリティッシュロックの王道を往く作品だ。本作が好きすぎて、後発のイギリスのバンドがそこまで自分にとって響かなくなってしまった。レディオヘッドみたいなバンドでもない限り、どうもローゼズの1stと比較してしまう。そんな罪なアルバムでもある。
1. David Bowie - The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars (1972)
ボウイは常に新しいスタイルを追求していくアーティストだった。音楽性のみならず、自らのアーティスト像までも変えていく。本作はそんな彼が「ジギー・スターダスト」という宇宙人のロックスターに扮したコンセプトアルバムだ。
ボウイの諸作品と比べれば音楽的な革新性は薄めかもしれないが、ジギーを演じるボウイの表現力と作曲センス、バンドの演奏力が、破滅的な物語を彩っている。あと5年で崩壊する地球に現れたジギー。彼は人々を熱狂へと誘い、最後は狂ったファンに殺されてしまう。本作から8年後にジョン・レノンの悲劇が起きたことを思えば、実にやるせない物語だ。しかしながら本作の楽曲たちは、ロックの、いや現実のやるせなさを上回る魅力がある。とくにジギーが死の間際、自分に凶刃を向けたファンに対し「君はひとりじゃない」と叫ぶM11「Rock 'n' Roll Suicide」はポピュラー音楽史に残る名曲だ。音楽は人を救えないが、破滅への道のりで見た一筋の祝福になるかもしれない。そんなことを私たちに示す真の名作だ。
最後に
半年以上かけていろいろアルバムを聴きながら100枚を選んで1枚ずつレビューを書き上げた。今の自分のベスト100。読み返してみると、陳腐な表現ばかりだなあと苦笑してしまう。
書いていて思ったのは自分はバラエティを重視しているということ。似たり寄ったりでは飽きてしまうというのだろう。同型ばかりだと曲としての出来栄えの差も目立ってしまうし。逆にいうと名曲とはおよそ呼べないような曲でも、多種多様な楽曲群の中の1つとして位置づけられていれば、アクセントあるいは箸休め的存在として評価できる‥‥という感覚がある。とはいえ何事にも限度はあるけど(ホワイトアルバム否定派)。
トップ10は当初考えていたものとはほとんど変わらなかった。唯一ビーチボーイズの「Pet Sounds」くらいか。最近はジャズに執心だけど、やはり昔聴いていた英ロックの名盤が自分の中では強い。昔からの刷り込みはやっぱり強い。その一方で昔は好きだったけど今では1秒たりとも聴く気になれない音楽が少なからずあって悲しい気持ちになってしまった。具体名はださないけど、某ざろっくの元ネタのバンドとか。かなしいね。
あとQUEENの作品は入れられなかった。ベストアルバムもありならクイーンの「GREATEST HITS」もトップ10に入るか入らないくらいぐらいだけど、ベストアルバムを入れちゃうとなんか締まらないからね。クイーン自体は好きなんだけベスト100に入れたいものがあるかというと‥‥「QUEENⅡ」も「オペラ座の夜」も聴いてみてベスト100には入らないよなあ、という感想しか出てこなかった。クイーンの世間的評価をトレースしているみたいで癪ではある。
クイーンに限らず、自分の考えのようでその実は世間的な評価をトレースしているだけではないか?と自己嫌悪することも執筆中に何度もあった。ただラインナップ選抜そのものには自分の嗜好がきちんと出ている。それだけは間違いない。ランキングとか「〇〇で打順を組んでみたwwww」みたいなフォーマットが好まれるゆえんだと思う。形式に則るだけで自分の趣味嗜好を言葉にするのが苦手な人でもちゃんと外に示せるわけだから。
*1:コード(和音)に捉われず、モード(旋法)を主体とすることでより自由なアドリブが可能となったジャズ




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