石動乃絵の「宗教」
仲上眞一郎と石動乃絵が初めて出会ったとき、乃絵は赤い木の実を取ろうと木に登っていた。赤い実は"天空の食事"で、これから気高く"飛ぶ"ものたちが口にするものだ。乃絵は"天空の食事"をニワトリの雷轟丸に与え、彼の涙をもらうという。乃絵は祖母の死を契機に泣けなくなった。再び泣けるようになるためには、気高く"飛ぶ"ものの涙が必要なのだ。
ニワトリの涙を手に入れようとする乃絵。彼女のやろうとしていることは非科学的で常軌を逸しているように見える。しかしそこには原因と彼女なりの目的が存在する。そして、非科学的だがある原因の解決を目的とするものという点で乃絵の行動原則に近いものを我々は知っている。宗教だ。
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