メイケイエール
馬名:メイケイエール
父:ミッキーアイル 母:シロインジャー 母父:ハービンジャー
調教師:武英智
馬主:名古屋競馬
生産者:ノーザンファーム
戦歴:3-1-0-0
主な勝ち鞍:小倉2歳ステークス、ファンタジーステークス
メイケイエール | 競走馬データ - netkeiba.com
新馬、小倉2歳S、ファンタジーSを破竹の3連勝。阪神JFは一度は先頭に立ったものの0.2秒差の4着。
ポテンシャルは間違いなく世代の牝馬の中でも上位だが、とんでもない気性難がネックだ。名手・武豊が必死に抑える姿が毎回目についてしまう。
指名できるか?
身も蓋もないことを言えば、POGはノーザンファーム生産馬から当たりを引くゲームだ。3歳世代のノーザンファーム生産馬は527頭。華々しいプロフィールの馬が他に沢山いる中で、527頭からメイケイエールを選ぶことは難しい。
オーナーの名古屋競馬*1は中小馬主。武英智厩舎も開業3年目*2で、目立った業績をあげたわけでもない。そのうえ父は未知数の新種牡馬ミッキーアイル。とりたてポジティブな要素は見当たらない。はっきり言って何度生まれ変わっても指名できる気がしない。
白毛一族
【2020-2021世代・重賞馬】ソダシ - ジョイナスのカラオケBOX
母シロインジャーはユキチャン(関東オークス等)の2番仔。つまりソダシと同じく白毛一族の出身である(本馬は鹿毛だが…)。
ソダシの記事でも書いたが、白毛一族は夏デビューが熱い。これは頭の片隅に置いておいてもいいかもしれない。
新種牡馬ミッキーアイル
新種牡馬ミッキーアイルはここまで9頭が勝ち上がり。初年度から2頭の重賞ウィナー*3を出したのは立派だが、社台SSの種牡馬としては物足りない感じがする。そのくせ勝ち馬9頭中5頭はノーザンファーム産。ノーザンに見切られたら目も当てられなくなるような成績になってしまうかもしれない。
勝ち馬の母父は、ハービンジャー、エンドスウィープ、タニノギムレット、ストーミングホーム、Ghostzapper、Petionville、キングカメハメハ、フレンチデピュティ。何がなんだかよく分からない。
メイケイペガスター
ある事情があって、この世代でメイケイエールに一番思入れを抱いている。
メイケイペガスターという馬を昔応援していた。ロゴタイプやキズナと同世代で、主な勝ち鞍は共同通信杯(G3)。青毛の綺麗な馬だった。同馬を担当していたのが当時木原厩舎の調教助手だった武英智調教師。きっとこれがきっかけでメイケイと武英智師の縁が生まれたのだろう。
メイケイペガスターはとんでもない気性難のせいで才能を持て余していた。若葉ステークスでは折り合いを欠いて直線で失速し、日本ダービーでは我慢できずに向こう正面で先頭に立ってしまった。東京競馬場で、メイケイぺガスターが上がっていったときに覚えた虚脱感は今でも忘れられない。
折り合いだけでなく、スタートも下手な馬だった。彼は21戦走って16回スタートを出遅れた。最後のレースも出遅れて10着だった。鞍上の藤田伸二は「G1をとるだけの力はある」とは言っていたが、クラシック以降はG1の舞台に戻ることすらできなかった。
引退後は中京競馬場で乗馬になる予定だった。乗馬になるためには去勢手術を受けなければいけない。しかしメイケイペガスターは手術の際に暴れてしまい、大怪我を負ってしまった。そして彼は安楽死処分となった。メイケイペガスターの大成を阻んだ気性難は、彼の命までも奪ってしまったのだ。
そのニュースを知った時に私が覚えた感情は、悲しみでも憤りでもなく虚脱感だった。あの日、府中のバックストレッチを駆け上がる彼を見た時に覚えたものと寸分違わなかった。
メイケイエールが折り合いを欠くたびに、私はメイケイペガスターのことを思い出す。「勝ってほしい」という願望と「どうせダメだろう」という諦念をないまぜにしてレースを見ていたあの日々が、再び顔を覗かせるのだ。